投稿日: Jul 22, 2011 10:57:5 PM
電子出版は文化の変革になるかと思う方へ
7月22日に直近の2年ほどの間にデジタルメディアのビジネス立ち上げや支援した経験者が語る『eBookに相応しい、アイデア、企画、コンテンツ、ビジネス』セミナーを行った(スライドショーあり)。電子書籍、eBook、電子出版といろいろな名称で呼ばれるデジタルメディアをテーマに、(1)企画・プロデュース (2)サービス・課金・流通 (3)デザイン・制作 という3つの切り口で、紙の置き換えでないデジタル媒体つくりやビジネスをどのように進めるかについて話し合った。
最初の話は、チバヒデトシ氏(http://facebook.com/chibahide)が、昨年から今年にかけて大阪で行われた電子出版とアプリ開発プロデュースの人材育成ワークショップ『ゼロベースから始める電子出版・アプリ開発プロデュース』の経験を通して、コンテンツをメディアやアプリにする発想やアイデアの具体的な例をあげた。ワークショップは30人の定員に対して応募は300-400あったようで、その中からオリジナルコンテンツをもっているクリエータ・編集者・個人などが選考されて、企画書の書き方から、制作技術の選択、制作、成果物の発表会がされた。すでに販売されているものもある。
本人がこうやってみたいと考えたことを参加者の前で発表して、それをディスカッションして考え直すと、企画書がガラッと変わるという話があったが、これは一人で考えているだけ市場に出したのでは大きくハズす可能性があることでもあり、ただオリジナルなコンテンツを持っているだけではメディアはできないことでもある。こういったことを自分でいろいろシミュレーションできることがプロデュース能力なのだろう。
実際にどのような電子出版が作られたのかという話では、プログラマの女性が作ったというサイトつくりのトーン&マナーのコンテンツは個人の才覚が感じられるもののようだし、マンガマーケティングの会社が作った葬式のマナーをマンガで学ぶものは緊急時にネットで購入してサッと見るにはうってつけに思えた。またECサイトをしているところがカタログのようにした電子出版や、アーチストがアートワークの紹介をするもの、本にしたかった内容をiPhoneアプリにしたものなどの話があった。
これらは従来の出版が商品の形式を先に決めてからコンテンツに取り掛かることが多いのに対して、コンテンツを良く知っている人がその特性から考えてメディアに行き着くという逆のベクトルで作られている。こういった成果物の販売をどうするのかという問題はあって、すでに自分で販路をもっている場合は良いが、マーケティングは工夫が必要である。しかし従来の出版は目論む部数が少ないと実現しないものであったのが、容易にデジタルで出版可能になることも事実である。大阪は東京に比べてこれらの情報は少なく技術的な経験も浅いにもかかわらず、参加者が制作する上で技術的な障壁はなかったという。コツコトと溜めてきた身近なコンテンツを世に出すということは増えていきそうだし、コンテンツの自由市場というのもヤフオクや楽天の延長上に出てくる可能性もある。