投稿日: Aug 13, 2014 12:44:42 AM
築地の魚市場の豊洲への移転は進んでいるのだろうか? 秋葉といえば電気街という時代があったが、その前は神田青果市場で、その青果市場は大田区へ移転して、再開発となったのが今の姿である。築地に関してはあと何年かすると再開発に入って、またビル群が出来上がるのだろう。
ところで太田や豊洲に移転した中央市場のビジネスはどのようになるのだろう。事の起こりは、中央市場が手狭になってパンクするから大きな場所が必要になったのではなかったのか?つまり産業として発展するための話だったのが、もし発展の見込みが語られないのなら、移転というよりは「追い出し」ではないのか? どうも話が土地利用の方にばかり向いて、産業の再構築という議論が足りないように思える。まあ国に産業政策というのはないからかもしれない。
八ッ場ダムのように工事に何十年もかけているうちに、社会ニーズが変わってしまって、何のために作るのかわからなくなったものも多い。核燃料リサイクルもそうである。青果や魚も今日的なニーズやこれからの戦略というのを考えて、もう一度流通問題を問い直した方がいいであろう。
というのは宅配便で産直が日本中どこでも届けられる時代になると、中央市場の意味とか役割は変わってくるはずだからだ。おそらく本来の市場の役割はセリで値段を決めるところにあったのだろう。しかし実際の取引は多様になりつつある。ファーストフードやファミレスなどのチェーン店は市場を通さずに生産者と年間契約をするとか、生協も直接生産者から買い付けるとか、前述の産直とかの取引の合計はもう何兆円に達しているかもしれない。これらは生産者からすればビジネスの新しい領域なのである。
つまり新中央市場が生産者に活性化をもたらすのか、いやむしろ中央市場を迂回した方が新たなビジネス構築のチャンスがあるのか、ということである。前者の新中央市場による活性化の話はあまり聞こえてこない。チェーン店の場合は生産者と直接契約することで、流通経費を削った省力かつ合理的仕入れができるのがメリットで、生産者からすると年間の価格変動なしに売り上げの見通しがたつ。市場を「中抜き」にした分が双方のメリットになる。
また生産者と利用者が直結することでビジネスが膨らむとか展開することができる。チェーン店では生産者に市場に出荷する場合のような過剰品質は求めないし、玉ねぎの皮むきとか加工を生産者が請け負ったり、出荷できない形状のものですらミジン切りとかの加工をして売れるようになる。魚市場に出荷できない魚も回転すしとかに売れるというのも同じである。海産物の場合は船単位で契約して直接仕入れることもされている。
どうも農協・漁協から中央市場に送り込んで値段を決めてディストリビュートするスタイルは小売業が何の交渉力も持たなかった時代のやり方で、それが流通や通信の発達によって、生産者と小売りがネゴシエーションできる時代には、「中央」を持たないやり方が可能になって、ビジネスプロセスが多様化するということである。きっと中央市場のビジネスにも今後の新たな可能性があるのだろうが、それがどのようなものかわからない。私は流通ではなくて流通に必要な生産者と利用者(小売りも)の登録機関のようなものがEC時代にはあると思う。
先般、練馬区から隣の中野区に小包を送ったのだが、そのトラッキングをみると、練馬から新東京郵便局に送られて、そこから中野区に戻ってきている。人間が練馬区から中野区に移動するのに千代田区を通過するようなことはしないので、郵便物も集荷の段階でソートをすれば物流量は減らせられるように思った。
民間ではAmazonのマーケットプレイスのように個人が出品して自分で発送してもいいし、Amazonにフルフィルメントを委託することもできるものがある。つまりモノの販売もPeerToPeerになりつつあるといえる。モノのインターネット化の一面でもあろう。あとは、どうやって商品を人々に知らしめるかだけが課題である。そこに業者登録機関の仕事も発生するように思う。業者のトレーサビリティとか裏書である。
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