投稿日: May 19, 2010 2:14:14 PM
将来がよく見えるようになりたい方へ
印刷物制作のDTP化が始まったのは1985年とするのが一般的である。AppleはXeroxのAltoを真似してLisaを作ったが高すぎて売れず、安いMacで仕切り直しをして再起を図った。果たしてつぶれかかっていたAppleはDTPで息を吹き返した。そのAppleはその後いろいろ紆余曲折があったが、近年iPod、iPhone、とヒットを飛ばし、2010年にはiPadでパソコン離れを起こそうとしている。今AppleはintelMacになってもDTPやDTVideo市場では強い力をもっている。とはいうものの、新たなアプリケーションを自ら提供することはなくなった。
一方でAmazonがDTPのサービスをはじめた。これはkindleコンテンツ作成のDigital Text Platformの略ではあるが、DestTopでPublishingが本当にできてしまうという点では印刷用DTPが進化したものと考えてもおかしくはない。この2つのDTPの間には25年の月日が流れている。MacのDTP誕生とともに生まれた人は、もう大学を出て就職していることになる。これは長いようではあるが、実は25年前でも今日のデジタル&ネットの電子出版はほぼ考えられていたので、こんなにもかかったのかという感想もある。
そのことをJAGATにbyebyeするにあたって話しておこうと思う(5/20T&G研ミーティング)。DTPに関心がある人は、当時興りつつあったパソコン通信やSGML化の動きには関心を払っていなかったようであった。要するにプリプレスを容易で安くしてほしいというのが印刷関係者の願いだった。しかしパソコン通信に代表されるオンラインの電子出版や、コンテンツデータの汎用性を高めるSGMLを合わせて考えるならば、データベースを中心にした自動出版で、ネットの先のいろいろなデバイスに対して一元的にサービスできるという図が描けたはずである。事実そのような構想図はいくつもあったのだが、DTPの人には自分のビジネスとして考えることはできなかったのであろう。
将来がどうなるかに関しての情報は、誰かが独占しているとか隠されているわけではなく、世の中にあるにもかかわらず、心が将来に対して開いていないと見ることができないのだといえよう。