投稿日: May 30, 2015 12:44:40 AM
NHKの国谷さんの番組で「モノのインターネット」をやっていたが、最近この手の番組は殆どみるべきところが無い。いわば表層的で平易過ぎるのだ。ある意味では視聴者をバカにしているともいえる。日本のメーカーでも1社で垂直的にはすでにそれくらいのことはできる技術があるが、アメリカはWindowsのようにオープンな水平的環境を作ろうとしていて、その波に飲み込まれると日本メーカーの優位性が発揮できるだろうか、みたいなことを言っていた。
これはどの業界にもあてはまることで、モノのインターネットも例外ではないとう程度の視点である。モノのインターネットを技術的なトレンドとして考え過ぎるからIT規格の話に行き着いてしまったのだろうが、社会の問題解決という視点で見直してみる必要がある。それがプラットフォーム指向の始まりである。
確かに技術革新がキーにはなっているが、それはコンピュータが爪先ほどのワンチップになったことで、安くどこにでも使えるからだ。すでにインターネットではなくいろいろなものに組込みでそういったコンピュータが使われていて、それが無線LANにつながるとモノのインターネットの話になる。モノのインターネットは新しいテーマのようではあるが、応用分野を考えると各分野で相当長く検討されてきたことの集大成が一挙に起ころうとしていると考えた方がよい。
社会的な問題解決については個別にいろんな課題を取り出してきても収拾がつかず、抽象的に思考することが必要になる。Windowsの例でいえばPCにつながるデバイスの多様性という点で特徴があったのだが、やはりOSの役割を概念的なレベルで水平展開が最大になるようによく考えたことがパソコンの利用拡大につながったと思う。この概念的な整理が日本の単一目的の垂直指向では十分できないので、プラットフォームで負けがちになる。
モノのインターネット時代にフォーカスされることは、今まで以上のニーズの細分化に対応することだと思う。人手ではいちいちやっていられなかったことをコンピュータの助けを借りて実現できると、生活者の満足度が高まると同時に、人が人を見張るとか、人が人をサポートすることを減らせて、一人あたりの社会的活動量が増やせることになろう。IoTのハードよりもそちらの抽象的議論を積み重ねるべきで、必ずしもIoTの応用が最優先されるべきではない。
特に日本は高齢化が進むということだから、そこに社会的な負荷がかかるのを抑制する応用というのが重要に思う。老人の一人暮らしの電話の内容はすべて録音して、遠隔地の親族が聴けるようにするクラウドサービスとか、今もって無いのが不思議なくらいだ。
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