投稿日: May 14, 2013 1:37:51 AM
メディアありき、は通じないと思う方へ
アメリカ人が銃を所持していることに違和感を感じる人は多いが、何故そうなったかを考えてみる必要がある。それは基本的には人がマバラに住んでいて人に助けを求められないところが多いからだが、このことは通信を発達させ、ラジオ、テレビから、自治体によっては電話がタダであったり、それを基盤にパソコン通信が発達した。電話がタダなので市内で常時接続ができて、草の根BBSによってコミュニティ情報の交換がされた。その文化がそのままWebの時代に引き継がれていった。
アメリカの銃乱射事件も怖いがもう一つ怖いのは拉致・誘拐が多いことである。最近でも3人の女性を10年間拉致・暴行していた男が捕まったが、妊娠すると暴力で流産させていたことが殺人にあたり、死刑になるかもしれないといわれている。そのニュースでさらにびっくりしたのは、アメリカには行方不明者データベースというのがあって、それが数十万人にのぼり、8割が未成年で、拉致された未成年は2万人であるといい、北朝鮮による日本人拉致などアメリカでは問題にされないのではないかと思うほどである。
実際に尋ね人の広告は多く、ネットでもこの人を知りませんかというのが出てくることがある。TVでも、牛乳パックでもそのような広告を見かける。家族や知人が元気に暮らしているかどうかを確認することは日本人が考えるよりもずっと重要なことになっているだろう。アメリカのSNSの使い方で身内のつながりを可視化できて安心感が得られることのメリットは大きいはずだ。Skypeもそのような背景で伸びたのだろう。SNSが伸びたのはコンテンツの問題ではなくコミュニケーションの問題を解決した点が大きいと思う。
アメリカで地域のフリーペーパー(無料新聞)を発行しているところを訪問したことがあるが、広告モデルで全戸配布をしていて、一般ニュースの他にタウンニュースがあり、ある意味では日本の地方紙と似たようなものだが、売ります/買います/あげます…だけでなく、教えます…集会・イベント案内…から尋ね人まで投稿が大量にあり、地域コミュニケーションの重要な部分となっていた。こういったサービスはネットに移っていって新聞のビジネスは細っていった。新聞社もネットでの情報発信を同時に行うようになったが、情報交換機能という点では紙はネットに勝てないからである。
しかし新聞の戸別配達という点ではネットのバーチャルなコミュニケーションに勝る点はあって、日本では新聞受けの新聞溜まりから独居老人の安否を見守るというサービスを新聞販売店が自治体から委託されてしているところがあるように、リアルな場に足を運ぶ点ではいろいろなビジネスの可能性があるし、それが地域コミュニティに貢献することなら地域に根付くことになる。今コミュニティペーパーを考えるならば、過去のフリーペーパーの物真似はやめて、生活者の問題解決という視点で白紙で考えた方がいいだろう。