投稿日: Aug 21, 2011 11:14:7 PM
Steve Jobsは偉大なデザイナだと思う方へ
iPhone5がどのようなものであるのかわからないでも、iPhone5が出れば買うと決めている人がいるように、機能というよりはブランド品のようになっている。iPhoneを部品レベルに分けて考えるとAndroidスマホと大して変わるものではない。ArmのCPUはiPhone以前から組込み(例えばルータ)などに使われていろいろなメーカーで量産されているものなので、このためのプログラミング環境も整っている。YouTubeでオリジナル変形パソコン工作を公開している人がいるが、今では葉書サイズのマザーボードがあるのでいろいろなことが可能になっている。メモリはmicroSD、外部インタフェースはUSB、Lan、というもので、iPhoneの中身のようなものが1万円くらいで売られている。用途は開発用とか教育用だろう。こんな時代なのでiPhoneのまがいものが中国ですぐに作られてしまうのは当たり前だ。
イノベーションとしてiPhoneをどう考えるかというのは結構難しい。ただ日本のガラケーとは根本的に発想を異なるものなので、ガラケーと比較するのは筋違いだと思う。私はこれはAppleIIに対するファミコンのようなものではないかと思う。AppleIIはファミコン以前からあり、そこにはいろんなゲームがあった。コンピュータであるAppleから手足をもぎ取ったようなファミコンは、AppleIIと同じCPUを使っていたので、ゲームの移植が簡単だった。AppleIIで気の利いたゲームがたくさん作られていたので、それらのファミコン移行に関してはきっとSteveJobsは悔しい思いをしただろう。パソコンに対するファミコンは、ステレオに対するウォークマンのような関係で、これは大きなイノベーションであって、利用者を桁違いに増大させた。
SteveJobsは時々Sonyのようになりたいという話をしていた。それはコンシューマプロダクトを手がけるということと、デジタルのブリッジで、iPodは大成功した。そのiPodは音楽用には不似合いなLinuxをOSに採用したりして、マルチメディアを考えているのだなということを匂わせていた。その後のiPodTouchをみるとPSPの延長上にあるように思える。実際にiPhoneの製造はPSPの製造をしていたところに外注しているので、PSPの進化形を考えたはずである。しかし用途としては既にあるゲームなどの分野は狙わずに、これから広まる市場に向けてみんなが使えるデバイスということで、ちょうどアメリカが3Gに差し掛かっていたこともあって電話・通信市場に狙いを定めたのがiPhoneであったのだろう。
つまり電話や通信機器としての充実は最初からあまり意識になく、むしろその分野の常識に縛られたデバイスにはならないように考えたから、アンテナ問題で「たかが電話だ」発言がでたものと思う。iPhoneがアメリカのケータイ電話普及というイノベーションを起こしたわけではないが、イノベーションにあわせて新たなライフスタイルをデザインしたのがSteveJobsであったといえるのではないか。だからAppleは新たなライフスタイルを先導するブランドとなって高付加価値を維持する。しかし市場としてはそのライフスタイルのフォロワーの方がずっと大きいし、コンテンツとしてもボトムアップで雑多なものが作られる。Appleは必ずしも多様なアプリを求めているのではなく、あくまで自身のブランドにふさわしいアプリだけに制限するつもりなのだろう。
(冒頭の写真は現在のパチモンで、PSPの形をしたFCエミュレータで、FCのカセットを挿して遊べる。中国製)
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