投稿日: Mar 13, 2013 12:45:36 AM
PODとオンラインの組み合わせを考える方へ
人がメディアを必要とする理由は、娯楽、学習、道具、であって、これらのどの目的にフォーカスするかとか組み合わせや配分というのがメディアの戦略であることを、記事『楽・学・道 その1』で書いた。例えば私らの子供の頃にあった、「小学1年生」というような学年誌は、子供の娯楽と学習の備えという両面をもっていて、日本の文化的な影響の大きかったメディアであったと思う。古い学年誌の編集者の方も幾らか存じているが、素敵だった。しかし出版社の学年誌は下降し、学習の道具としての通信教育が娯楽性を備えて台頭してきた。学習という点では、単なる月刊誌よりも添削問題のついているほうが親としては良いと考えるからだろう。
通信教育自身もシマちゃんなどキャラクタを使うし、オマケのようなプラスチックのおもちゃがあって、子供を喜ばせている。学年誌の場合はボール紙をくり抜いて組み立てる付録が楽しみであったのと似ている。いずれにせよ子供相手の楽しませると言うコンテンツは似たようなものになって、学年誌の世界と同じような人材や体制で通信教育は行われていったが、あまり文化を全面には出さなかった。むしろビジネスモデルとしては学習に徹底してフォーカスしたのが通信教育である。
日本の教育産業という通信教育や塾・予備校の成功要因の一つは文部科学省とは少し距離をおいていたことにあったと思うのだが(この話は別途に)、出版社はどうしても文化の担い手ということを第一のコンセプトにして、ビジネスモデルの構築が遅れたのだろうと思う。記事『楽・学・道 その1』で技術の変化がビジネスモデルの変更を迫ることに触れたが、日本の通信教育はこの点でも意欲的で、プリントオンデマンドによるパーソナライズしたバリアブルプリントのパイオニアでもある。今はその発展途上ともいえる時期ではあるが、すでにタブレットなどペーパーレスの普及期に入ってきたので、道具としてのメディアを考える場合には今一度大きなビジネスモデルの変更を迫られている。
AmazonKindleのクラウド型のソーシャルリーディングのようなことがあるのなら、通信教育も大型データセンタを使ってソーシャルに学ぶものが可能になるなあと、いろいろ空想をしているのだが、もし日本の教育産業が本気で開発に乗り出せば、今なら世界一のものは日本から提供できるようになるかもしれない。これは教育産業が統計を使うのに長けていてビッグデータ解析に基づいたサービスが可能になるので、従来いわれたeLearningを超えるものが考えられるからだ。
教育産業に限らず、メディアの様相はネットとデジタルでますます大きく変貌しようとしているが、その根幹にあるコンテンツはやはり娯楽、学習、道具、の3つの目的に集約できると思う。