投稿日: Feb 28, 2011 11:12:47 PM
ネットでもお金がまわるようにしたい方へ
ネットの強迫観念にフリーの悪夢があることを、記事『ビジネスモデルのリセット』で書いたが、要するに情報に金を払ってもらえるものは簡単には思いつかないからだ。だからCookpadが成功したとなると2匹目のどじょうがいっぱい出てくる。食は日常生活で必須のものだから「必要なものは成立する」ともいえる。しかしレシピを並べているだけではビジネスはできずにソーシャルをどれだけ活かしているかに加えて、食材メーカーのマーケティング支援をするとか、別の必要も満たしている点が収益上は大きい。
もともと従来型の出版モデルが弱かったのはマーケティングであったので、そこはリクルートが求人や住宅などの膨大な情報を処理してビジネス化したことを前述記事でも書いたが、リクルートはそれまでの新聞社が扱っていたよりも大規模な処理をしたから勝てたのである。それは紙の時刻表に対してWebやケータイの路線探索・案内にもいえることだし、旅のサイトも同様に紙媒体を凌駕できた。つまりネットだソーシャルだという以前に、必ず勝てるだけのコンテンツをハンドリングする能力が必要なのである。これはCookpadのようにクラウドを使えば、今日ではハードルは低くなった。(クラウドを使う気が無いなら最初から負け)
かつて「小学何年生」という学年誌があったのが没落したのは少子化のせいのようにもいわれるが、一方でベネッセなどの通信教育は幼児から大学受験生まで広く網羅していった。昔の学年誌にはいっぱい付録があって子供を楽しませていたが、それはそっくり今の通信教育に受け継がれている。つまり消費者にとっては、雑誌を買うことと、通信教育は同じ取捨選択の土俵にあることに、出版社があまり気を使っていないことが、マーケティングに疎いことをあらわしている。学年誌を編集する能力の上位にマーケティングやビジネスという面でのプロにならなければ、メディアのビジネスはやっていけないのである。
学習という分野は明確な目標が立てられて、それを達成するための手段を提供するのがメディアビジネスの役割であるのだから、雑誌ビジネスをするのに広告のぬくもりで生きていこうという態度ではなく、あるソーシャルにとって必要なことを成立させるために、有料でも価値あるサービスをするというところを原点に再出発する意味はある。しかしマスメディアはこのような合目的的なものは少なく、多くはエンタテイメントなので広告モデルしか考え付かないかもしれない。確かにエンタメや流行ものメディアも無くなりはしないが、それはどこまでいってもミズモノであり、一部だけが大ヒットして多くはロングテール化する従来の読み物、CD、DVDなど情報氾濫する世界がネット上でも繰り広げられるだろう。
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