投稿日: May 26, 2015 12:41:16 AM
年を取ると若い時の音楽に回帰するというような記事が最近よく引用されるが、私は若い時から古いものを中心に聴いていたので、どこらへんに回帰するのだろうかと悩んでしまう。若い時に自分の身の回りで話題になったフォークロックの類は全然知らなくて、街でBGMで流れているようなものでも曲名とかアーチスト名は浮かんでこない。しかし確かにローリングストーンズやJimiHendrixなどについては鮮明に覚えていて、自分が買わなかったレコードでもちょっとした知識はあったりする。ということは若い時の音楽環境は脳のどこかに残っていて回帰のきっかけになるということかもしれない。
これと関係して、人間は中学生の時に音楽指向が決まってしまうという説があり、これももっともな気がする。今回話題になっている話は『人は33歳までに音楽的嗜好が固まり、新しい音楽への出会いを止める』だと思うのだが、Spotifyの利用者データ解析で、『10代の大半はメインストリームのポピュラーミュージックをいろいろと聴いているが、20代になるとその頻度はゆっくりと落ちはじめ、30歳ぐらいになるとメインストリームのポップミュージックはますますその割合が減っていく。平均して33歳までには新たな音楽を探すのを止める…』のだそうだ。
この傾向は間違ってはいないが、音楽に限らないことだと思う。つまり人は、結婚前、新婚、子育て、子離れ、というそれぞれの時期にライフスタイルを変えながら生きるからである。まず思春期の自我の確立期は文化的な出会いという点で多様性があり他人からも多くの刺激を受けて自分探しをするのだろう。20代になって伴侶探しに入ると相手との関係で嗜好の整理がされ、場合によっては相手に合わせることもあろうし、一緒に新しい体験をすることもあろう。
子育て期間はあまり趣味に没頭する余裕はなくなってしまうであろうが、子離れをすると自分の嗜好の原点として、思春期とか若い頃のことをいろいろ思い出すようになるのだろう。
これらは流行のサイクルと同じ様なことである。ウチのヨメはストレイ・キャッツのようなネオロカビリーが好きだが、それから25年も経つとサイコビリーのような若者が表われ、1950年代サウンドのリメイクをしている。サイコビリーに興味があったわけではなかったが、YouTubeを見ていると本格的なミュージシャンもいろいろ出てきていて頼もしく思った。
この映像はジゼルというアメリカ娘であるが、元歌にひけを取らない歌いっぷりでびっくりした。私の場合は新たな音楽を探してはいないが、音楽の方が新たなミュージシャンを排出し続けるので、年とともに聞く範囲は増えていく傾向がある。むしろ若い時の方が自分の周囲と同調しないような音楽は聴かないという偏食傾向があるのではないかと思う。
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