投稿日: Oct 15, 2013 1:38:45 AM
会議の活性化
LINEの普及で他のSNSやチャットシステムが割りをくっているような話もあるが、普及の数を競うだけがノウではないと思う。ITが実社会に対して有効な技術ならば、本当はコミュニケーションの質がよくなる方向にアプリ開発や普及促進が行われるべきなのだが、どちらかというと話題性とか安直なビジネスという点でITが取り上げられることが多い。
アメリカではグループウェアとかネット会議のような情報共有のアプリがたくさんあって、それなりに使われているのに、日本では即仕事に役立つネットアプリがあまりブレイクしないのはなぜか?
これは日本の弱点を現していると思うのだが、弱点だからこそ日本人は考え難いし、普及・利用もはずみがつかないという悪循環にある。それは日本人のコミュニケーション下手なのだろうが、一般人と違って仕事とか公共機関の場合はコミュニケーションは成果そのものに関わってくる重要なテーマなので、下手でも嫌でも取り組まざるをえないはずだ。
前職ではグループウェアを社内でどうにか使ってもらおうと、いろいろシステムを作ってみたのだが、システムの機能云々の前に、日本人は阿吽の呼吸とかノミニケーションに支配されている点が強く、システム上での情報共有や報告や通達が二義的なものになりがちだった。
一方標準化の国際会議や国際対応委員会の場合は日本の会議とは違って、会議で何を議論して何を決めるかがはっきりしていて、しかも限られた時間で多くのことを決めなければならないので、会議とはいっても face to face 以外の情報のやり取りが多くあって、そういうところではIT・コミュニケーションのシステム化は大きな役割を果たしていた。
具体的には、会議では次の会議に向けて各人が分担で宿題を担う。これは文書化して次の会議の事前に他のメンバーに見てもらえるようにする。つまり会議に集まる時には、既に他人の宿題のレポートは読んでおくこととする。だから会議は前回の議事録確認のあとは即議題の審議から始まり、前回の議論の蒸し返しとか、横から他の案件を言い出すとか議題以外のことで時間を費やすことはない。各会議は予め何を何処まで決めるかがセットされているので、会議のアウトプットとしての決議事項が埋まっていくように進められる。
このように会議においても入出力とかプロセスがはっきりしているので、文書のやり取りはもとより、議論もネットでかなりのところまでできるし、場合によってはネットだけで済んでしまうこともある。だから海外企業と一緒に仕事をしている場合も似たようなやり方になっている。
ところが国内のとりわけ社内の会議はこういったトップダウン的組織運営の一貫として行われていることが忘れられて、誰かの一方的な話であったり、逆にみんなの意見を聞くとか、もっとよい考えがあったらとか、場合によっては雑談と感想の場になるなど、「話し合いの場」だと思っている日本人もいる。これは新入社員の時代に悪い習性がついてしまったからだと思う。
日本でもグループウェアとかネット会議を取り入れなければビジネスのスピードアップはできないわけだが、導入前に組織運営と会議の関係を再認識してもらう必要があると思う。