投稿日: Jun 12, 2010 12:0:19 AM
誰が主導権を握るのか考えている方へ
新聞チラシを見ているとデジタルTVを含めて情報のための道具つまり情報家電が半分以上を占めている。TVのハードウェアもすっかり変わったがまだTVである。パソコンもウルトラモバイルからiPadまで載っているが使い道が変わったようにも思えない。iPodもウォークマンと同じように音楽を聴くものであろう。しかし少しずつ機能の重なるところが出てきている。CPU、メモリ、液晶などの電子部品の性能や価格のことは別にすると、いったい何が進歩しているのであろうか?
今のスマートフォンはWindowsNTの頃のハードウェアであり、その前ならワークステーションと呼んでいたものなので、それでマルチメディアができることは概念的には10数年前から分かっていたことである。デジタルTVも同様で、ビルゲイツはsRGBの規格を当時の将来TVであるハイビジョンから引っ張ってきていた。この10数年でCPUやメモリやディスプレイの技術は各デバイスとも共通なものになったというのは、過去のそれぞれ固有の技術を捨てたという意味がある。パソコンもレガシーフリーを達成したといえる。つまり当面の間はデジタル技術はどんどん共通化標準化するので、ハードウェアのことは考えなくてもよいほどである。
では今何が競争なのか? それはiPhoneやiPadが大衆受けし出したように、情報家電のボリュームゾーンを狙うなら、look&feel ・ユーザインタフェースで勝負しなければならなくなったことである。しかしiPhoneやiPadがすべてに普及するわけではない。40インチのTV画面をタッチして操作することにはならないだろう。ハードウェア的にはTV・PC・ケータイは共通化しつつあっても、それぞれのレガシーな操作性というものがある。PCにおいてもOSとパッケージソフトとブラウザとWebアプリとASPでは操作性に異なるところがある。Appleのような垂直統合ビジネスではこれらの一貫化は比較的やりやすいかもしれないが、逆に限られた用途のものしか提供できない。
もうiPadもスマートフォンもひっくるめて情報家電とみるならば、その用途の多様性の中で、どのように共通の使いやすいユーザインタフェースを作っていくのかがメディアビジネスの焦点になっていくだろう。電子書籍においても結局は人々の目はコンテンツの話よりもリーダー・ビューアの善し悪しに行っているではないか。しかしいろんなインタフェースのよいところを集めたとしても、それはフランケンシュタインのような独自で奇怪なものになってしまう。くどいようだがユーザインタフェースに独自の世界を作ってしまっては普及に苦労し、製品・サービスの寿命も短くなるので、共通で汎用のユーザインタフェースのマナーをベースにするのが受け入れられ、他デバイスにも転用しやすいものとなる。
この共通で汎用のものは、まだ出来ていないのである。TVのリモコンでもない、ゲームのコントローラでもない、PCのキーボード・マウスでもない、ケータイの親指操作でもない、iPhoneでもない、しかしそれらの操作経験からして違和感なく入っていける方法がすぐに見つかるとは思えないが、こういった開発をリードするところが、これからの情報家電とメディアビジネスをリードするのではないか。