投稿日: Jul 31, 2014 12:37:7 AM
山師ということばは詐欺師の意味で使われるが、本当の山師は詐欺ではなく非常に科学的なアプローチで鉱山を探り当てるプロのことである。これはいろんなビジネス開発と似たところがあると思う。川の下流とか海岸で砂の成分を見て、金とか宝石とか石炭の断片などから、川を辿って山のどのあたりに鉱脈があるかを見つけるのが山師なのだろう。実際には掘ってみないとわからないものなので、試掘をするわけだが、そこにインチキを仕込んでおいて、アリもしないのに鉱脈があるかに思わせるような細工をすると詐欺師になる。
インチキがない場合は試掘して鉱脈に当たるときもあれば、運悪く当たらないらないかもしれない。ビジネス開発もインチキにひっかかるかどうかと、運が良い悪いの2つの面があるだろう。
山師を頼りにビジネスをすると、恨みがましいことが多くなってしまうのだろうが、自分が山師になって自分が一山あてようというのがベンチャーなのではないか? ベンチャーは一山あてようとするところに人の目が集まっているようにみえるが、実際はその前に、砂の中に鉱物を発見するような、どのような兆候を捉えて鉱脈の試掘に臨むのかという山師の部分で、ベンチャーをやろうとする人の才覚が試されているように思う。
つまり「これからのトレンドは……だ!」という掛け声をかけるのが山師であるので、ベンチャーがそういう掛け声に乗っかって始めるようでは遅きに失している。むしろ自分の実体験を通してトレンドを独自に見いだせなければならない。そしてその先にどんなビジネスがありえるのかを検証するための小さな現場を持たなければならないだろう。アンテナショップとかパイロット事業である。能ある鷹は爪を隠す、というように、ひそかに大鉱脈を狙っている人は、軽々しくトレンドを口にはしない。世間で騒がれているトレンドは無責任な受け売りによって膨大に肥大してしまったものなので、実際にビジネスとして始まる時には100分の1とか1000分の1になってしまって、マスコミは「…は終わった」みたいなことを言い出している。しかしそこから着実にスタートしているものはいっぱいある。
だから新規の分野が立ち上がろうとした時には、かならず事前バブルがやってきて、そこには詐欺的な山師も多く登場するが、それに惑わされないで自分のビジネスを前に進めたければ、自分が科学的統計的な山師にならなければならない。そういう基礎的な活動をないがしろにして、プレゼンテクニックに力を入れるとか、ファンドうけするリリースを出しまくる活動だけをしていても先は見えている。
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