投稿日: Aug 19, 2011 12:11:50 AM
生活メディアが存立しにくくなっていると思う方へ
ネットでの共同購入型クーポンが日本に根付くかどうかを考えるのに、既存の紙のフリーペーパーやチラシなどローカルメディアが今後どのような手を打ってくるかがかかっているし、またダークホースとしてネットスーパーのような店が自分で情報発信するメディアがどうなるか、などがある。日本のメディア政策はマスコミに偏重していたために、草の根メディアや新規参入組が弱い。まだ雑誌の世界は自由に発刊できるが、新聞の形態をとるとなると既存のメディアから圧力がかかって、新規の発刊はほとんど絶望的である。その結果、地方には地方新聞があるが、都会には生活感のあるメディアが育ってこなかった。
地方でも新メディアの参入は厳しく、ミニFM局も苦労している。すべてが規制のせいではないが、生活の場からメディアを作ることに日本はまだ慣れていないのであるから、そこにデジタルネットを持ってこようがソーシャルテクノロジーを持ってこようが、アメリカと同じようなことにはならない。日本で経験が豊富なのは紙の販促の世界であるが、そこがネットの利用をした例としてトッパンのシュフーがある。これはチラシと同じくスーパーやチェーンストアの側に立つメディアなので、このモデルのままでは生活者のメディアとして発展はしない。
その点フリーペーパーのようなドブ板営業をしている方が生活密着になるのだが、シュフーのような大きな展開はできない。もっとも全国的に行っているのは「ぱど」であろうが、まだ新聞の代わりをしてチラシを呑み込む方策はないだろう。つまりみんな何かが足りない状態で、どんぐりの背比べから抜け出る気配はない。しかしメディアの経験はなくともデジタル&ネットの中でスタートしたネットスーパーは、土台としてはもっとも有望なところだが、今のところ自社で扱う商品以外のコンテンツとその編集力がない。
よくスーパーのレジの後ろに「ベビーシッターします」「家庭教師します」「英語のレッスン…」などの紙が貼ってあって、すこし地域生活を意識しているようにも思える。アメリカではスーパーの駐車場を借りて地域の人がイベントをすることもある。地域おこしというのがどの自治体のテーマになっているが、自治体が主体の限りは特定企業や特定メディアとのタイアップは行い難いだろう。むしろ民間の企画で進められるならばスポンサーを集めて、FMもネットも紙もイベントも総合した、生活者視点のメディア連携活動が可能なはずだ。それぞれ自分が今までやってきた単体の事業が成り立ちにくくなっているのだから、連携することで広告主には安く効率的なメディアにし、生活者には分散している情報を統合してわかりやすくすることで、地域活性化につなげられそうだ。