投稿日: Sep 12, 2013 1:6:28 AM
高齢者を守る視点
先日㈱ジーアンドビーの青木慶哉氏のお話を伺った。関西の生駒で新聞販売店が地域の高齢者のサポートをしつつ新聞購読の確保もしている話であった。全国で独居老人の見守りとかを新聞販売店が行っている例はあるが、ジーアンドビーはもっと徹底的なサポートをしていて、リフォーム・家電販売から始まって、草むしり・電球交換・犬の散歩…など、地域のボランティアを集めて何でもします、ということを超低額で行っている。もしこういうことが各地で始まれば、市町村が高齢者向けにすることは無くなってしまうのではないかと思えるほど、いろんなサービスをしている。
高齢者向けのビジネスには怪しい人も参入してくるが、そこは新聞販売店の信用力が効いていて、ヘルパーさんに頼めないようなことでも頼まれるという。これらが月300万円ほどの売上になるようだ。私が重要だと思ったのはこの販売店のさまざまな行動に参画している地域の(主として)ママたちの能力と、地域への情報発信力である。
通常パート仕事というと低コストということになるが、ここではママたちの経験が社会に役立つという側面が強く出ていて、地域で共に暮らせるようにすることがやりがい・生きがいになることを、社内コミュニケーションで徹底している。つまり販売店内部の組織化が金銭だけではない共通の目的・目標をもてるようにしている。お話から推測するに社内のコミュニケーションに費やす社長の時間や労力は膨大なものであるだろう。
また情報発信では、新聞販売店を始めた時に新聞拡張団を使ってビール券や洗剤をバラまく代わりに、リソグラフを入れてほぼ毎日ミニコミを発行して、この店の想いを伝え続けたという。一般的な新聞販売店が自店のミニコミを折り込むのは月に1回くらいであることと比べると、その労力の凄さがわかる。これらママと情報発信を武器にすると、新聞販売でなくてもビジネスはうまくまわるだろう。現にジーアンドビーはソフトバンクのショップもやっていて、そこではiPhone販売実績1位をとったこともあるそうだ。
ジーアンドビーはこの2つの要素をシニア向けのビジネスにフォーカスしていて、そこには大きな可能性があるという。しかも新聞販売店というポジションは当面有利であるという。いわゆる「今でしょ!」なのだ。従来の新聞ビジネスの寿命が10年だが、日本の超高齢社会はあと30年続く。だからこの10年のうちに業態を切り替えて、シニアビジネスと新聞ビジネスの位置を逆転させなければならないということだろう。