投稿日: Mar 28, 2016 1:11:22 AM
福島第一原発の放射能漏れ事故に関連した風評被害の総額はどれくらいかはわからないが、相当にのぼると思われるし、未だに続いている。原発に事故は有り得ない前提だったから風評のことも考慮はしていなかったのだろうが、これからは災害に連動した事故は避けられないから、避難や事故時の対策というのも考えられるようになってきた。記事『福井の原発運転差し止めを大津で決める理由』では、高浜原発から30km以内が琵琶湖の源流になっているから京都・大阪が影響を受けることを書いたが、これが意外に意識されていないのは原発の名称によるのかもしれない。
つまりもし福島の放射能漏れが福井で起きていたならば、意外に風評の範囲は狭かったのかもしれないということだ。福島の原発はまだ日本に原発が少なかった時期だから県名をつけてしまったのだが、実際の立地は双葉郡であり双葉原発とするとか、あるいは1号機から4号機が大熊町、5号機と6号機が双葉町なので、大熊双葉原発という名前ならば、福島と名の付くものは何でも危ないというような反射的なリアクションは減ったかもしれない。
海外の人でもフクシマと聞けば原発事故を思い起こしてしまうだろう。だから住民の権利として、原発のような影響力の強いものの命名に対してはモノ申すことができるのではないかと思う。まだ日本中に50はある原発についても、住民に名称がこれでいいのかどうかを問うとよいと思う。そうすれば名称問題に関連して、事故が起こった場合に、どの場所はどの程度の影響を受けるのかが具体的にイメージできるようになるかもしれない。
チェルノブイリは元々人が住んでいないところに原発を作ったが、ドイツとかヨーロッパの国は町の近くに原発を立地させてしまったので、将来原発を廃止する決定に向かったのだと思う。日本も都市部とは関係ない過疎地に原発を押し付けた感があったが、意外に水系とか地形の状態で都市部との関連も見直されている。今回の放射能汚染ゴミが海流に乗って北米まで流れていくようである。まだ海の調査はデータが少ないが、地上に放出された放射能は地球を巡ることは知られていて、地球全部が風評の対象になってしまったら、どうなるのかと思う。
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