投稿日: Dec 11, 2012 1:6:57 AM
メディアの経営が難しいと思う方へ
知り合いがヨットの雑誌のeBook化を手伝っていて、その応用展開が非常に広いと思われる。そもそもヨット人口はそれほどいないので、紙の雑誌はバブル期には広告で成り立ったものの、購読予約制では成り立たない。そこにeBookで再挑戦するわけだが、eBookはネットとつながるのでWebでやっていたような他サイトや他メディアとの連携が可能になって、紙の雑誌モデルとは異なった設計をすることになるし、紙とは違う発展をするものだろう。このeBookではヨットと関連してダイビングや釣りなどの分野でもeBook化されていけば「海の図書館」ができるという構想を持っている。
こういった趣味嗜好性の強いテーマはいろいろなところにあり、それぞれが関連分野を持っているので、読者の視点で考えれば仮想のポータルのような「何々図書館」というものがないと不便である。現状のeBookはKindleのような販売サイトを離れてしまうと孤島のような情報になってしまい、販売サイトに戻らない限り他のeBookとの関連性を見つけることはできない。しかしそもそも実用書などはそれ自体が索引のようなものだから、参考文献のところからその文献そのものにジャンプできるのが理想である。実際そうならないとしても、eBookの中の気になった箇所をマークして、そこにBookmarkできるような機能が欲しくなるだろう。eBookを買ったなら、その内容と関連したソーシャルBookmarkがあるようなイメージである。
さらに考えを進めると、eBookの実用書というものは最初から何々図書館のような「その世界」を想定するところから始めるべきだろう。これは単純なことで、ヨットならヨットを所有してヨットに乗ってどこか航行する人にとって必要な事柄やその情報を網羅することである。もともと雑誌の中で趣味嗜好性の強いものは、「その世界」の人や「その世界」を良く知っている人が始めるものだったので、情報の網羅はそれほど難しくは無いだろう。その先には索引性の高いメディアで情報の質を上げるとか何らかのサービスを、「その世界」の人に提供することでビジネスの拡大というか、低廉なメディアの発行の維持ができるようになるのだろう。
ところが雑誌の場合はメディアの採算性を第一に考えるモデルだったので、廃刊せざるを得なくなったものが莫大にあった。むしろ趣味嗜好性の強い分野では「その世界」の人自身が行動する中から自然に情報が集まって、良い情報が選りすぐられてメディアになっていくような、ソーシャルな下地の上に成り立つメディアがデジタルで徐々に進んでいくのだろう。