投稿日: Nov 11, 2011 12:3:39 AM
日本ブランドは通用するのかと思う方へ
今の日本のモノが売れないという状況は解決しようがない。国全体としては新しい意識に切り替わるのは、バブル後遺症が抜けるのにかかったように20-30年先だろうが、個々には脱出の道がある。記事『インターネット世代の会社離れ』にあるように、まず個人の独立があるが、モノ作りの考え方も変える必要があるだろう。今苦しんでいるのは、大量生産で安売りの呪縛にはまっているからで、これから解放されなければ持続的な経営はできない。中国の後ろにはまだ人件費の安い国々があって、玉突きのように生産拠点はシフトし続けるからだ。
しかし日本は品質がよいから高い値をつけて高級品にしてブランドなのだといっても、外見のデザインが異なるだけで機能は似たり寄ったりでは、大量生産慣れした顧客の関心はひけないだろう。つまり顧客の意識を変えるような提示に仕方が必要で、それは近年のケータイの進化やスマホへの変身などにみられることでもある。電話がデジタルと無線によって、主用途が電話するものではなくなって、長電話もすっかり影を潜めてしまった。かつて固定電話なら利用度数が多い方が電話会社は儲かったのに、料金が定額になるとか、何々プランで差をつけるとか、自分で過去のモデルを壊して、物量ベースからサービスの質にフォーカスした全く異なる経営になって発展した。
人々はガジェットに目が行きがちだが、Appleにしてもデバイスは「釣り」であって、iPodは値段を下げる代わりにコンテンツ流通で稼いだ。こういったことをスマートTVでもやろうとしていたはずだ。では他のモノ作りの場合、例えば家電とか、事務機とかはどうなのだろうか? 情報処理やコミュニケーション分野では、お金の使い道が「買う」(所有)から「使う」(利用)というように変化しているが、家やオフィスで使うものもそうなりつつあり、それがシェアであったり、マネジメントのサービス化として起こりつつある。建物に頑丈な鍵を取り付けるよりはセキュリティサービスに加入するようなものである。
それでも基本的なモノは必要なので、モノは生産して「売り切り」で勝手に使ってくださいというスタンスではなく、「使う」際の手間隙をサービスにすることが行われている。例えば天井の蛍光灯を「買う」のではなく、時々業者が点検して光り方が怪しくなったものを壊れる前に取り替えるメンテナンスサービス契約にするものがあり、蛍光灯からLED灯への切り替えも従来の料金の中でボチボチやってもらえれば、利用者にとってはストレス無く変化に追従できる。当然モノ作りは、素人に意味不明な専門用語を並べ立てて煙に巻いて売りつけるようなことはできなくなり、プロであるサービス業者の厳しい目にかなうモノでなければならなくなり、結果的には丈夫で長持ちとかメンテナンスがし易い高級品ブランドが残ることになる。
ヨーロッパのブランド品は貴族やブルジョワジーが世代を超えて愛用したことに由来しているように、少数の厳しい顧客から相当な評価を受け続けなければ高級品ブランドは生まれないものであり、それは大量生産とは相容れないものだということを思い起こす必要がある。