投稿日: Jan 13, 2012 12:42:44 AM
理想と現実のギャップは埋まるかと思う方へ
今ソーシャルメディア云々はアプリや応用分野の話で、これらを使って現実社会に益することをみんなが考えている。Googleがソーシャルメディアに参入することで、検索とパーソナルメディアの融合した世界が拓ける。これらによって起こることは大体いままでいろいろ議論されてきたことだろう。スマートTVもさんざん議論されてきた放送と通信の融合の実現の一局面に過ぎない。つまりこれらは議論の段階から投資・回収の競争の段階に移りつつある。しかも大規模投資ができるところは限られるので、多くのビジネス機会というのはコバンザメというか派生的なものとなり、アイディアよりは機を見て敏に行動できるかどうかにかかってくるだろう。
その背後で技術的にはインターネットは雲行きが怪しくなっているように思える。ネットの普及は利用者の増大から見て取ることはできるが、利用者たる生身の人間の数は限られているのに、CPUはいくらでも生産できるので、クライアント数の増加以上にサーバが作られるようになっている。サーバのCPUは急速に増え続けてきて、確か聞いたところでは1サーバあたりのクライアント数は10数くらいの比率になるほどサーバCPU数は増え、その多くがアメリカ系のデータセンタに集中している。何十万サーバのデータセンタがどんどん建設されているからだ。
この調子で行くと、膨大な数のサーバをみんながシェアしているわけで、シェアの仕方が一瞬であったり、特定目的ごとのシェアであったり、SNSや登録制の利用のように所属というシェアであったり、人の営みのいろんなところに使うインフラとしてインターネットがある。しかし実際には無制限にデータはシェアできないのであり、シェアの利便性はやはりネットワークの能力にかかっている。ネットワークというのは人と情報源の間でスイッチをしているようなもので、電話で言えば交換に相当する。ここでの能力が冒頭のようなサービスの良し悪しを決める。YouTubeが映像利用に関して完全に万能にならないのはネットワークの能力に制限されているからだ。ここに次なるイノベーションは起こるのだろうか?
有線のインターネットに続いて起こったのは、セルラー方式の無線であった。これはケータイのような基地局をたくさん設置すして、同じ電波帯をあちこちで使うことで、限られた電波帯で多くの人にサービスするものである。日本では瀬戸内海航路の船舶電話から始まったと聞いた。今これが発達して有線のレベルを超えるだろうといわれている。だから放送の電波帯を取り上げてどんどん通信に利用しようということになる。放送では2000の番組を同時に送り出そうとすると2000チャンネルが必要だが、ネットワークでは利用者はある瞬間では2000のうち1つしか選択(スイッチ)していないから1チャンネルでもよいのだが、利用者の数だけ通信制御をしなければならない。今は経路の途中でのキャッシングぐらいしかソリューションは無いのかもしれないが、ここらにイノベーションがない限りは、今まで描いた未来の情報社会は片翼飛行である。