投稿日: Nov 17, 2010 10:26:4 PM
あんな仕分けでいいはずがないと思う方へ
先般、総務省来年度計画の電子出版フォーマットその他「新ICT利活用サービス創出支援事業」が予算計上見送りで仕分けられてしまったが、その間のやり取りをTLに流しているコメントを見ると、仕分ける方も方なら、仕分けられる方もピントがボケているという印象があった。双方ともIT戦略云々を議論できるような状態ではないらしい。そこである疑問があって改めて首都圏・東京の行政がどの程度情報産業との関わりをもっているかと思って調べてみた。
例えば2010年東京都ベンチャー技術大賞には、全7受賞企業のうち、クラウド(以前のグリッド)やiPhoneによるP2P映像配信の2つが情報関連で受賞していて、他は「モノ作り」であった。この賞の目的は「東京の産業の活性化と雇用の創出を図る」となっているが、東京には情報関連のベンチャーが山のようにあることを思うと、情報関連の受賞が無いよりはよいものの、非常にワビしいアワードである。応募も少ないし情報関連の審査委員もごく少数であるので、こんな調子なら官公庁は中小の情報産業との接点はほとんど無いに等しいだろうと思われた。
創業支援のプログラムでも「ホームページの作り方教えます」というのがあったりするほどで、ITを活用したビジネスモデルができれば安価にアメリカのクラウドが使えてスタートアップが可能というここ数年の変化は行政の施策に全然反映されておらず、丸で別世界のようなものが行政には残っている。窓口の公務員の会話もITに関しては全く素人相手の話しかできない感じで、どう考えても情報関連のベンチャーを首都圏・東京から興そうという戦略は見当たらなかった。もっとも別にこういったことを官公庁にやってもらう必要があるとはいわないが、官公庁に情報戦略がないのであれば、冒頭のプロジェクトのようなものを官公庁にゲタを預けて進むわけが無いことになる。
官公庁と深くコンタクトのあるのは昔から存在する業種で、新しいビジネスに関しては担当の人が何処にいるのかいないのか判らない有様だ。つまり官公庁は現在進行形のITから見ると、すごく旧社会のバイアスがかかった意見しか集約できない。しかし何らかの権限や予算は持っている。それで旧勢力が新勢力に横槍を入れるようなプロジェクトはよく実現する。こういった点はもっと民間から監視できる必要がある。情報戦略に係わる事業は、まな板の上の鯉のような状態で、仕分ける、仕分けられるというかけひきではなく、バイアスを避けるには予算要求する前に公開議論をしたものでないと取り上げないというような条件が必要だろう。