投稿日: Nov 05, 2013 12:28:13 AM
まだアナログのビジネスを追っているのだが...
アナログであれデジタルであれ、コンテンツを作って売ることには変わりはないが、デジタルで作ることと、ネットで売ることは、まだうまくシンクロしていないように思える。アナログの場合はどうしても物流の制約があるものの、作る側と流通チャネルと売る側の三者の連携はかなり最適化がされていた。それと比べるとデジタルコンテンツの場合は制作と利用者の手元デバイスだけが先行してデジタル化してしまって、あとから流通チャネルの問題や、プロモーションが模索されるという足並みの揃わなさが目立つ今日である。
こういう状態でも新しいヒット作が出てくる可能性はある。よくキラーコンテンツといわれるやつであるが、それでデジタルコンテンツビジネスに弾みがつくとは限らず、やはり流通チャネルとプロモーションの新たなモデルを確立することが必要になるだろう。
例えばmp3の携帯音楽プレーヤーが登場し、ダウンロード販売が普及したというものの、これは楽曲のバラ売りに過ぎないので、新譜のプロモーションとかスタンダード曲には都合がよくても、CDやLPでいえば企画編集モノやまた名曲集のような売り方をネット販売でどうするかがみえない。つまり音楽の楽しみ方を提供するというところが抜けているのである。
これは電子書籍でも同じで、端末とEPUB制作は音楽の場合のように登場し、ネットでピンポイントでの購入はできるようになっても、アナログの場合に書店の本棚にシリーズや関連書が整理されて納まっているような利便性はまだ足りない。単品の購入は便利になったがデジタルでは自分の蔵書も一覧できないとか、今後読みたいなと思い浮かべる書店の本棚のようなウェイティングリストのイメージがつかみ難く、やはり楽しみ方を提供するところが弱い。
これらの課題に何らかの方策を立てないと、アナログコンテンツとの競争に勝つことはできないだろう。
しかし将来を考えると、アナログの時の音楽や書籍の楽しみ方のアナロジーをデジタルで実現するだけではすまないだろう。映画場合には最初に封切り上映をする映画館のイメージが未だにあって、それがネットでも配信されるということを踏襲しているが、一方ではビデオ作品(音楽DVDなどは典型)というジャンルも出来ていて、映画館は一切意識しないDVDというのもある。
映画やビデオの例から考えると、過去からのアナログ作品と、Amazonが扱うものなどアナログのビジネスを踏襲したデジタル作品の先に、デジタルネイティブなコンテンツビジネスはきっとあるのだろう。いろんな萌芽的な現象と思えるものは今でも見受けられるのだが、どのようなものが広がっていくのかはまだわからない。