投稿日: Nov 12, 2013 1:18:46 AM
生き残るための科学を!
フィリピンに大型台風がやって来て未曾有の被害が出ている。多くの被災者は倒壊した建造物などに押しつぶされることで発生した。おそらくいつの時代でも大型台風では多くの被災者は出たであろうが、テレビのニュースをみていると今ではどの国のどの町にもみられるような近代的な住宅や建物が崩壊している。これは台風が強かったこともあろうが、崩壊した建物の瓦礫が別の建物を崩壊させるようなドミノ倒しが起こったようにみえる。長い目で見れば一種の人災ともとれるだろう。きっとどこかの大学の先生が調査して研究発表するだろう。
おそらく吹けば飛ぶような家に人が住んでいるならば、大型台風に際してどこかに避難しなければならないが、なまじっか近代的な建物の中に居るために、そこにいれば大丈夫だろうという判断だったのかもしれない。また急に避難しろといわれても避難する先が用意されていなければ不可能なので、地域防災の考え方もそれほど整っていなかったのかもしれない。地球温暖化のせいかどうかはわからないが、自然災害の度合いが全地球的に強まっているようであるから、「逃げる科学」というのが重要になるだろう。
石垣島に何度か行ったことがあるが、平屋の民家の周囲に頑丈そうな石垣がめぐらしてあって、なるほど台風の通り道に住むとはこういうことなのかと思ったことがある。しかしそれは昔からの住居の場合で、近年建築されている建物は本土と同様のものであるから、このフィリピン台風規模の災害に遭ったら石垣島も大きな被害が出るかもしれない。ただ台風は津波と違って突然襲うものではないために、避難の時間的な余裕はある。おそらく石垣島にも地域防災の計画とか訓練とかはあるのだろうと思う。こういうノウハウは日本にはかなり溜まっているのではないだろうか。
また一旦被害が出たときの救済や後かたずけ、復興に関しては国際的に協力し合うようになってきて、日本からも(タイミングは失しているかもしれないが)自衛隊がフィリピンに援助に行くであろう。東アジアという共通の自然環境にいる国々が共同で取り組むべき課題がここら辺にいろいろありそうだ。つまり港湾やインフラ・街づくり、建築基準、地域防災訓練、緊急時メディア、救急救命、などなど、いろんなものを総合して自然の猛威から上手に逃げて人的被害を最小にして復興を迅速にする作戦を科学するという課題である。
われわれは「進歩」とか「豊かさ」を科学のテーマにしながらも、直近の経済発展に過度に傾斜させて文明を発展させてきたが、そこから直接・間接の人災も発生させていることがいろんな点に現われている。科学の進歩をもう一度見なおせば、自然の猛威から逃げて生き残る方法もいろいろ出てくるのではないか。