投稿日: Mar 06, 2013 1:40:46 AM
ネットではもうからないと思う方へ
ネットはバカと暇人のもの、と自嘲的に言う人がいるが、そういう見方から何か新しいものが生まれるとも思えない。テレビの台頭時も1億総白痴化とか言われ、今日のテレビ放送を見ているとあながち外れているともいえないのだが、ネットの利用者が増えることは同じことを繰り返すのだろう。そこでは結局バカと暇人を相手にしたビジネスに長けている者がネットでも成功者になるはずだ。広告代理店にとっては将来は決して暗いものではないだろう。茶の間のTVがスマホ・タブレットに変わったところで、何も変わりはしないというか、タダ同然だったTVが有料コンテンツを含めると毎月1万円かの支払いをするものに変わり、その分だけ紙メディアが減ると言う流れになっている。
メディア技術が進歩しても受動的な生活者にとってはライフスタイルの質的な変化はあまりないだろう。しかし情報提供者にとってはアナログメディアからのシフトという変化にうまく乗るところと、乗り遅れるところに分かれる。それがデジタルメディアに取り組む理由だとすると、やはり志は低いと言うか、さもしい経営しかできない気がする。つまり入れ替わりの激しいIT応用分野でアップアップの経営をするのが関の山だろう。1980年代から振り返ってみると日本のソフト産業の多くはそんな状態で、特定分野や特定クライアントとともに着実に実績を積み重ねたニッチな会社の方が少数派である。バカと暇人相手を小企業がするのは困難であることは今後もそうであろう。
バカと暇人以外はお金の流れがキツいので、ガマンしながらの事業開発になるのだが、それだけに将来が明るいと信念が持てるようなテーマでなければ続けられない。誰のために、何のために、と具体的に目標が立てられるような自分の事業ビジョンを煮詰めることを伴う活動になる。だからそこらにいっぱいある、金だけでつながっているとかサラリーマン組織ではやっていけないので、ニッチな会社は少数派になるのだろう。むしろ共通して掲げられるビジョンの元に人々が集まってメディア作りをしようということがきっかけになる。メディア作りの動機の話である。
もうひとつはマネジメントが変わることである。幸いデジタルメディアはお金がなくてもやりやすくはなっている。それは端末もサーバーもアプリも作業のコラボレーションにおいても全方向的に言えることで、メディアを扱うマネジメントさえ変えるならば、過去には不可能だったことが成立するようになったところに着目するべきである。デジタルメディアをどのように実現していくのかについては、今後とも流動的であろう。データベース、デジタルアーカイブ、リポジトリ、Wiki、などを柔軟に取り扱って、出来るところから始めて、蓄積しつつ多面展開していけばよい。
記事『メディアの役割としてのコラボレーション』は原稿というバリューチェーンの入り口がデジタルに変わることを書いたのだが、バリューチェーンの真ん中にある情報蓄積とその利用は、ネットとデジタルでかつてない規模のものとなろうとしている。日本人もWikipediaを起こすほどの発想を持ってもらいたいと思う。