投稿日: Aug 12, 2011 11:49:10 PM
無益な戦いが多すぎると思う方へ
画面をタッチ操作するインタフェースはAppleが発明したものではなく、TEDのアーカイブを見ても以前からあったことはわかる。CNNのニュースを見ると、アナウンサーや解説者の後ろに大きなパネルがあって、そこに例えば地図や天気図が表示され、それを解説者がしゃべるのに合わせてタップしながらグラフィックを変え、画面をドラッグして番組が進んでいく。つまりかつてのTVでは2~3人にかかりでプレゼンをしていたのが、今は一人でパソコンでパワポ操作をしているような感じで番組が作られていく方向性が見える。テクノロジーが何をもたらしてくれるのか、それぞれ自分の仕事に適用して考え、工夫しているのだなと思う。展示会やイベントのプレゼンも大型のディスプレイ(フラットパネルでも投影でも)の斜め前に人が立って、画面を手で操作しながら行うスタイルが増えている。画面のある部分を指し示すのに、レーザポインタなどを使うのではなく、人が直に指し示す方がわかりやすい。
しかしタッチ操作はまだヨチヨチ歩きで、プレゼンにはよいが、複雑な仕事はできない。これからはキーボードやマウスに相当することが次第にタッチでできるように開発が積み重ねられるのだろう。今のタブレットだけを見るとPCは死んだとまではいえないが、PCの姿形は今後大胆に変わる可能性はある。ケータイに関してはスマホの販売が過半数になろうとしている。これでタッチ操作はメジャーになるだろう。さらに親指操作のタッチ化という点では、日本はがんばった方がよい。つまりタッチ操作の高度化というのが今後の大きな争点になりそうだからだ。
記事『Androidでガラケー時代の終焉』では日本でiPhoneが相対的に下がる傾向を書いたが、北米ではサムソンがiPhoneを抑えて販売のトップに立ち、iPhoneは四半期ごとの集計では前期よりも下がったので、Apple対サムソンの戦いは露骨なものとなりつつある。AppleはiPadの特許を侵害でサムスンのタブレットの販売とマーケティング活動の中止を求める訴訟を各地で起こしており、ドイツのデュッセルドルフ地方裁判所はAppleが提出した仮処分を認め、オランダを除く欧州全域でギャラクシータブが当面販売できなくなる。8月12日からは韓国でもAppleがサムソンの製品の生産禁止や廃棄を求める裁判の弁論が始まっており、サムスン側はAppleが主張する特許の新規性や進歩性には根本的な問題があり、これまで公開されたデザインの要素を統合したApple製品のデザインの独創性は受け入れられないと強調した。
Appleはタッチ操作とiPhoneやiPadの構造を結び付けようとしているが、かなり無理があるように思う。なにしろまだタッチ操作はヨチヨチ歩きなのだから、過去の知財権が云々を争うよりも、これから役に立つ操作方法を開発する方が近未来の勝者になるはずだ。Appleがこのタイミングに世界各地で裁判を仕掛けてくるのは、サムスンへの営業妨害としか映らない。
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