投稿日: May 24, 2013 12:57:16 AM
編集もクラウドソーシングに
Kindleなどで自主出版の中からヒットが出ることがあるとは言うものの、その確率は決して高いものではないと想像できる。自主出版で一つ優れた作品が出る裏では、山のようにどうでもよい作品が作られていくような絶望的なイメージも描かれているのかと思う。しかし誰もが作家を目指すわけではなく、むしろ自主出版が主に行われるのははっきりした目的とか対象があるような分野ではないだろうかと考える。記事『出版界をバイパスして』ではYouTubeを販促に使っているDVDの「自主出版」の例をあげたが、趣味や専門分野にはそれぞれ情報源になる組織とか人はいるので、その人たちが担う分野がはっきりしている。つまり自主出版でカオスが広がるのではなく、自然に情報がフルイにかけられていくところもある。
現在すでにWebやメルマガでまとまった情報を提供しているところが、内容を再構成、再編集して自主出版すればいいのではないかと思って、いくつか声をかけてみたことがあるのだけれども、当事者はWebやメルマガで手がいっぱいで再編集を新たにする余裕がないとか、まだ現状ではWebやメルマガで十分だという意識である。むしろ自主出版にして課金とかで煩雑になることを避けたいという人もいる。
だからKDPのような編集ツールがあれば誰でも自主出版できるというのではなく、商品コンセプトにあったパッケージ化を考え、有料・無料も含めて流通対策をするサービスが必要になる。いわゆる出版社が出版企画をしていたようなことを代行して、売上の一部を得るようなビジネスなのだろうが、対象層がはっきりしているとはいえ数が何百しかなく、売価が何百円にもならない商品の成果報酬なら、1件当たり何万円の売上なので、既存の出版社が担うことは出来ない。こういったクラスの出版は、現状では何らかの人脈があってフリーの編集者がボランティア気分で手伝ってくれるようなものしか世に出てこない。
大学で自主出版の可能性を考えた記事『デジタルコンテンツの生態系』では、大学の情報循環という中に自主出版が位置づけられそうだと考えたわけだが、大学での窓口としては大学生協でeBookの発行から決済ができるとマーケティングに新たなエネルギーを使わなくてもよい。しかし生協に新事業をする意欲とか余裕があるとも思えない。とすると表向きは生協でバックには別の仕組みがあって、学生・院生などの有志のアルバイトで簡単な編集を手伝うということも可能かと思う。この程度であれば、1万円程度の編集費で1日作業くらいの内容を再構成・再編集は可能かもしれない。