投稿日: Oct 07, 2013 2:27:21 AM
Wikiの弱点を克服すると、次世代が拓ける
ネットに夢中になっている人は、現在ネット上にあるものについて、ああだこうだと議論することが多いが、それでは今後の進歩は無いだろうなと思って、記事『自己革新を忘れたベンチャー』などをメモしてみた。まだネットにあがっていない情報はゴマンとあり、それらをどのようにうまく取り込んで、新たな情報価値やサービス価値を出すのか、というのがコミュニケーション・メディアの革新であると思うからである。そういう点では、グレースノートは素晴らしいし、WikiやSNSと並ぶ革新であると思う。さてそれに続くものは何があるのだろう? これはまだ議論にもなっていないかな、と思う。
ただどんなサービスを考えるにしても、ネットで使えるように情報の準備をするところが一番のポイントだと思う。そこに労力をかけられない場合はYouTubeでも青空文庫でもグレースノートでも無料でできる仕掛けを考えることになる。インターネットの世界はcrowd云々という参加型投稿型のもので、商業ベースのものよりも上回るサービスが出てきた点である。日本でも放送の視聴時間とYouTubeの視聴時間は近づいてきた。商業放送が敗退することはないが、全部が高視聴率のヒット番組になれないことを思うと、広告ビジネスはネットにシフトする部分が増えていく。
しかし参加型投稿型というのはアイディアはいくらでも作れても、人を巻き込むことは難しい。Web上には誰も来なくなって廃墟のサイトも珍しくない。
おそらく次なる段階は、力のあるNPOのような組織をベースに、しっかりした土台のある参加型投稿型のモデルであろう。ある程度専門的な人の集まりになると、かえって意見の折り合いがつかないことがあり、素人の投稿を扱うのとは異なる大変さがある。Wikipediaも編集者を引き受けると欝になる人が出るというくらいだから、ちゃんと権威のある組織で情報のガイドラインが作れるようなところがホストするべきだる。それに加えて関係者のコラボレーションをする仕組みをうまく作りだす必要があるだろう。それもキュレータがコラボするくらいの水準のことが必要だ。
考えてみるとこれは出版社のやっていることと似ているのだが、紙の本のようなアウトプットでお金がまわる仕組みが無いので、従来は手を出すところが殆どなかったのだと思う。記事『ディスコグラフィーというメタ情報』では欧米でレコードに関するdiscographyがマニアによって調べ上げられて本になったいきさつに触れたが、残念ながらそれらもネット上で検索してみられるものは殆ど無い。つまり紙の本に依存した分野のままなのである。
今はいろんな音楽関連サイトが部分的なdiscographyを掲載しているが、それがグレースノートのようにまとめて扱えるような方向にいくであろう。その場合のカギもネット上の協同編集をするコラボレーションの仕組みになるだろう。
過去にレシピ本がいくらあっても、そこからはCookPadが生まれなかったように、紙の情報があるだけでは次ステップのメディアにはならないのである。自然に参加できて、良質コンテンツが淘汰されて残るようなコラボの仕掛けがカギになるだろう。