投稿日: Nov 12, 2015 1:7:54 AM
11月11日は中国で独身者が自分にご褒美を買う日だとかニュースで流れていたが、そんなものをニュースにするな、という気がした。中国は体制が社会主義なので底辺層の保証は国がしていて、もう年金制度などは日本よりは信頼できるのではないかという段階に来ている。あくまで底辺層のことなのでフツーの人が考えて満足するようなレベルではないだろうが、アメリカのように何らかの破綻をした人が自己責任として無慈悲に放り出されることは(体制を否定しない限りは)ない。
中国は国が社会主義をやってくれるおかげで個人は消費文化や投資・投機に没頭しやすくなっているのではないかとさえ思える。冒頭の自分ご褒美とか爆買いとか海外の有名物件の転売とか、いつもなんか私利丸出しの様子がニュースで伝えられる。今年は株の急上昇と下降があったが、時々金融操作のあおりを喰って自殺する人が出るのもいつものことである。
こういう個人レベルの社会性欠如に中国政府は目をつぶらざるを得ない状況があると思う。それは政府以外に社会の仕組みを考えたり社会活動をすることを、政府が望まないからである。共産党の内部の、しかもチャイナセブンのバランスが最重要事項であるだろうから、それ以外の考え方を外から持ち込むルートは今のところないだろう。つまり社会活動家が居ずらい国になっていて、下手に矢面に立つと身の上に危険が及ぶかもしれない。誰か反対者が計略を図って政治犯にされてしまうこともあろう。
一方アメリカは自己責任ということで切り捨てられる人は多くいるが、社会福祉は宗教団体のボランティアが手厚い。宗教団体は多額の寄付を集めて社会活動を行っている。その寄付は控除されるので、富裕層の中のある人たちは良心の呵責に代えてびっくりするほどの多額を献金する。社会活動に積極的な人は寄付よりもボランティア活動そのものに力を入れる。マクドナルドの創業者もそうであって、しかも遺産の1600億円も救世軍にいった。
アメリカはイデオロギー的には社会主義が嫌いで社会保障は公的には不十分なはずなのに、実態としては個人の意思で社会保障が(不十分にしても)保たれるように、中国とは逆のバランスが働いているといえる。いずれの国ももっと国と個人が連携できるようになったらいいのにと思う。このことはSNSのような情報システムのおかげでボトムアップで進みつつあるようだ。つまり人々の社会主義的なマインドから行動が起こされるようになると思える。
中国でも天津の爆発事件の時には、国や自治体からは情報が伝わらないものの、住民の連携が中国SNSを通じて即座に行われ、労力や物資の両面で互助的に被災者の応援がされた(冒頭写真)。救急車が足りないのでケガ人が病院に運べないなら、車を運転できる人が見ず知らずの人を病院に運ぶという段取りがSNSを通じて行われたし、動けない人の生活の面倒も地域の助け合いでカバーをしていて、中国人の利他的行動がここまでできるとは感心し、社会の成長を見た思いがした。
実は中国でキリスト教の浸透は相当なもので、マンションのどこかに何十人も入って教会のようなことをしているのがいっぱいある。おそらく事件の勃発の際に即刻行動をおこせるのは、単なるSNSのつながりではなく、リアルのグループがすでにいくつも出来上がっていたからではないかと想像している。
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