投稿日: Aug 04, 2010 11:5:5 PM
メディアは曲がり角にあると思う方へ
近年、先進国のマスメディアはかつてない異変があって、一般に衰退といわれているが、日本よりもアメリカの新聞・雑誌の方が広告依存度合いが大きいので落ち込みが大きいように、実際には個々にいろいろな事情があって、『マスメディア=衰退産業』と決め付けてしまうこともできない。そもそも部数や読者数では紙でも電波でもデジタルメディアにはかなわない時代になったので、マスの大きさではデジタルメディアの方がマスメディアにふさわしいかもしれない。では既存のマスメディアをどう考えればいいのだろうか。冒頭の例で言えば従来の広告モデルが成り立ちにくいということであり、紙でも読者をしっかりつかんでいるところはネットでも有料モデルが成り立つなど、メディアの形態で判断できにくい要素は増えた。
結局はそれぞれの媒体のおかれた環境に応じて今後の取り組みが必要なのだが、日本のメディア産業の大方に関係しそうな事柄をSWOTで表すと次のようになるのではないか。
S:-------------(強み) O:---------------(機会)
日本文化に根ざしている 情報流通の効率向上 ユビキタス
信用、浸透 コスト低下、リーチ拡大
編集力がある IT・ECと メディアの融合
メディアのサービス化
W:-------------(弱み) T:---------------(脅威)
前近代的経営 アメリカIT業のグローバル戦略
マーケティング不足、非効率 規格、プラットフォームの主導権
ITの大幅な遅れ コンテンツホルダの自立化
コスト高、人材不足 紙離れ、環境・エコ意識
一般論として強みを確認して伸ばすために何が必要かを考えると、編集の前段階の情報発生源と、商品が市場に出て人々に役立つところへの着目がある。これは情報学とかコミュニケーションというテーマである。
弱点の克服としては、第一に経営の土台を固める上でMBA的な現代的経営の勉強が必要である。これがないとバリューチェーン構築・パートナー探し・コラボレーションが始まらない。その上でITの進展を見越したビジネスモデル作りができる人材が必要である。
機会は実はたくさんある。つまりメディアをうまく使うと発展するネタは多い。日本の全産業で見るとITやEC利用というのはまだ非常に低レベルである。電子政府をみても10年前と大きくは変わっていない。こういった問題解決に取り組まないと日本そのものがヤバくなるので、促進要因としてのメディアビジネスは活躍の場がある。
脅威は今最もジャーナリズムに採り上げられることではあるが、黒船対抗の議論だけしていても意味がないように、つまりSOWに対して十分な手を打った上での脅威論でないと無目的なレジスタンスになってしまう。その空疎さを「日本文化を守れ」という叫びに感じてしまう。
これら全体の再認識と、次世代に向けた事業の再構築をしなければならない。