投稿日: Nov 10, 2011 1:16:3 AM
もはや会社や国を信用していない方へ
オリンパスのような光学機器のノウハウを持った会社は世界にそう多くは無いので、いろんな可能性を秘めているはずなのだが、会社経営としては当面の金回りを優先して財テクの失敗をしてしまったらしい。折角の会社のコアコンピタンスを生かせない日本の会社のいびつさが、日本という会社社会全体に閉塞感をもたらしているといえる。これから脱するにはもっとクリエイティブなことで成果が出せる組織なり働き方にならなくてはならない。
日本はもはや「世界の工場」ではなくなってしまったので、以前は巨大組織を統率していた軍隊的な管理メカニズムはあまり有益ではないだろう。iPhoneなどを作っているフォックスコンは従業員が100万人いるそうで、会社と社会の関係は日本の企業城下町以上に強いものとなっているのだろう。アジアの製造業はだいたいそうなりつつあるし、ある意味では行政の一部分を企業が肩代わりするので、国とか行政が企業に有利な施策をするという、日本がやったことと同じようなことが行われている。
日本の中にはこのアジアの国と企業の関係をうらやむ人もいるだろうが、こういった社会からは決してクリエイティブな仕事は生まれない。だから日本がアジアの中でクリエイティブな指向をする人の集まる場所になれば、日本人の刺激にもなるし、またアジアの工場国家と異なる道を歩むこともできるだろう。しかしこれは難題で、産業革命・近代国家を卒業することなのだから、急に日本がそのように変身することはできないだろうが、特定地域の施策とか特定分野とかから風穴を開けていければよいのだが。
アメリカはIT、特にクラウド化で快進撃をしていて、確かに世界の覇者になろうとしているようにみえる。しかし中国だってアメリカのさまざまなITモデルの真似をして、何億人をホストするようなデータセンタの運営はいくらでもできるようになっていて、結局ITとは言えどもスケールメリットを追求する世界は中国にお株を奪われることになろう。つまり今のアメリカは企業という巨大メカニズムと、個人の才覚というノマドの、相容れない要素を不思議にバランスさせてはいるが、この緊張関係がずっとうまく行くとは限らず、将来はクリエイティブなノマドがアメリカ離れをする可能性だってあると思う。
日本はそうったクリエイティブなノマドがコラボレーションする場としての役割を担えれば、産業革命・近代国家を卒業することになるだろう。