投稿日: Feb 21, 2012 12:18:6 AM
独自戦略を考える方へ
業務改善を考えていない会社はないのだろうが、巷のIT企業のソリューションを皆が受け入れるわけではない。このギャップは何だろうかという事を考えずに、IT企業の真似事のようなことをメディア企業が行っても成功するわけはない。昔は業界ごとにビジネスモデルがあって、金太郎飴とも護送船団とも言われる特性が日本の企業にあったが、今それは中国にはあてはまっても、日本は逆にこういったことでみんな沈没する危険性さえあり、生き残りは個別の能力や事情・ニッチにかかっている(もっとも世界に向けて出てゆく企業は、これとは別のグローバル競争が主課題)。だから周りの会社を見回して同じようなことをしてもうまくいかずに、独自戦略が必要なことと、ビジネスの節目ごとにそれは変わることを、記事『事業の衰退と新規開発(1)』で書いた。
例えば金物を売る客があるとしても、そこにどんな業務改善が必要であるかというソリューションは全く異なる。B2B用の紙の総合カタログが必要な場合もあるし、ネットで売る場合もあるし、サプライチェーンを対象にする場合もあるし、小売業とのアフィリエイトもあるだろう。またその会社が新製品を引っさげて参入しようとしているのか、売れ筋の商品を持っているのか、売り上げが伸びないのか、衰退しているのかで、優先的にすべき課題は異なる。だからIT企業の業界別ソリューションに高い金を出す客は少ないのである。ではどうするか。少し先には抜本的な戦略が必要であるとしても、今はまずそのためのテストとしても、現状のビジネスなかでヒントになりそうなところで新たな試みをしてみて、社内の意識あわせもしながら、次ステップを考えるのがよい。
だから当面は小さなプロジェクトをするとしても、それを通じて大きな変革も考えることができるように、市場・コスト構造・販促・人材・環境などを総合的に見る必要がある。それが下図の範囲で、これらの目論見をうまく整理すると事業計画になる。
一般に、ITソリューションを採用しても、テストとか導入期までしか行かず、ビジネスとしてキャズムを超えないのは、基本的には事業会社の方に柔軟な戦略展開ができないからであるのだが、IT企業とかメディア企業としても、制作はしても戦略のお手伝いまではできないからである。特に若いベンチャー企業は、たまたま戦略性のある優れたお客さんで成功した事例を、戦略性のない淘汰企業にも売りつけてしまうことが多く、当然それは成功しないので引き続き発注がくることはない。むしろ小さいベンチャー企業の方が身動きが軽いので、お客さんの多様戦略に対応できるように自分を磨いておくべきである。