投稿日: Oct 26, 2013 1:34:2 AM
人間の注意力では解決しない
阪神阪急ホテルでレストランのメニューなどで、食材の表示と実際の調理される食材がことなることがいろいろ発覚して問題になった。これはおそらく外食産業の多くに潜んでいる問題であろう。実際は表示が食い違っていても料理は食って問題があるわけではないのだが、商売のモラルが問われている。特にブランドのあるホテルなどでは過去の信用を失墜させてしまうことは大きな損失だろう。
ホテル側はマスコミの会見で今後の防止策として「注意します」くらいのことしか言わなかったが、食材をケチって失った信用は「注意します」では回復しないだろう。
こういうことが起こるのは、食材の調達方法とか調理方法は別に昔と変わらず、そこにはそれほど問題があるとは思わないが、メニューの表示の方が「何処そこの何と言う食材」というように具体的に書いたことが問題ではなかったか。つまり特定の食材がコンスタントに手に入らないことは当たり前で、だから旬とか産地とかで希少価値が出るからである。調理の腕で並みの食材でもおいしくすることは当然として、売上を上げるためには、売り文句として食材の希少性を書き足したかったのだろうから、厨房の問題というよりは広報の問題ではなかろうか。
スーパーなどのパックされた食材の表示の偽装が暴露されたニュースがちょっと前にたくさんあったが、今度の件は外食産業側に暴露の波が移ったといえる。中国の食材が国産になっていたような事件も、納入業者の間違いとか、流通過程のせいにして済まされるものではなかった。そこでは狂牛病以来、生産者から情報のトレーサビリティを確保するようなシステムが出来上がっていて、POS端末のようなオンラインでどういう所からどういう経緯で来た商品であるかが分かる仕組みがある。既存の取引の伝票システムに、コンテンツ情報を入れるようにすれば可能なことである。
外食産業がこういったシステムと連動させるならば、毎日の仕入れに即してメニューを変える仕組みというのもシステム化できるはずだが、果たしてそこまで客が求めるかということを吟味するべきだろう。
つまり今回の問題の本質はコピーが一人歩きした過剰な表示競争であると思う。これが広告の根源的な問題からくることは、常時不適切な表示に関する検討とか規制が続いていることからわかる。ビジネスをしている以上はどうしても顧客に期待させる必要があるし、一方で正確な情報を出さなければインチキになってしまう。これを両立させるには1つの表示で表わすのは無理で、いくつかの階層化した表示方法が必要になる。それは①イメージ表示②カテゴリ表示③実際・実態表示であろう。
ステーキなら①は調理写真やコピー、②は名称や分量、③は仕入れ情報、になり、③に関してはスマホなどでアクセス可能にすればメニュー上はウザい表示にはならない。もしこういう情報構造を作らなければ、仕入れと販売表示の食い違いを見張ることもできないはずだ。