投稿日: Dec 25, 2014 12:59:23 AM
今から10年前に、EPIC2014というショートムービーが作られて、1989年のWWW登場以降のインターネットの足跡を踏まえて、10年後には起こるであろう大変化を予測したような「問いかけ」がされた。その中にGoogleとAmazonが合体して、インターネット上の情報支配をしながら社会を変えるようなストーリーであった(参照Wikipedia EPIC2014)。このムービーを作った人はGooglezonの到来を真剣に考えていたわけでもなく、インターネットの情報支配が起こるとも思っていなかった。ただ当時の機運として、それまでのIBMやMicrosoftのIT時代から後には別の状況が生まれることを人々が思い始めていたので、議論のきっかけを提示するのが目的だったのだろう。
このストーリーはクラウドやユビキタスを織りこんでいるし、全体としてはよく将来を見通していたと思うが、ニュースを巡って既存マスメディアとMicrosoftとGooglezonが戦うという点に焦点をあてていたのは、ちょっと筋違いだったかもしれない。ニュースに関してはHuffPostくらいしか変化は起こっていない。新聞の購読は減り続けているものの、新聞社に代わる機能はまだIT化されていないのである。
それ以外ではEPIC2014の内容はかなり実現してきた。Googlezonにはならなかったが、この2社がイノベーションを包括的に進めていることは、この10年間一貫していた。2014年にはAmazonがドローンで商品を家庭に配達する実験をしていたし、Googleは自動車の無人運転を実験していた。インターネットからリアルワールドへ身を乗り出そうとしている。
これらはたまたま公道などに出てきたから目立つだけで、彼らはすでに自分達の自由にできる領域ではいろんな試みをしていて、Amazonの倉庫なども自動化はどんどん進んでいる。ドローン配達だけをみて成功するかどうかを検討するのは浅はかで、彼らは物流全体の問題と取り組んでいるのである。Googlezonのイノベーションというのはドローンが云々とか倉庫内ロボットがどうこうという個々の装置の話ではなく、ビジネスプロセスやライフスタイルや価値交換というもっと大きい土俵で考えられている。特にAmazonは徹底した中抜きに進んでいるし、Googleは哲学してるなあと思わせられることもある。
すでに子供のオモチャでもITとかロボットの技術が使われているように、モノ作りとして取り組んでも安く早く作る競争になることは目に見えていて、それよりもITやロボットでどのような価値の変化を起こすかを考えているところがリーダーシップをとるようになるのである。
だからこれからは社会のイノベーションに向けた開発指向が不可欠であろうと思う。
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