投稿日: May 17, 2014 2:4:55 AM
手先の器用さではなく、抽象思考へ
現在、電子工作関係は雑誌で気の利いたものはトランジスタ技術くらいしか国内にはなく、殆どが個人のWebに情報を頼っている。日本にはそういうサイトが結構あるのはさすがだなと思う反面、個人サイトの限界というのもいろいろある。高齢で健康を害された場合は書き込みが中断してしまうが、そのサイトがレンタルサーバなどの場合は消えてなくなることがある。そのサイトをリンクしている他のサイトにとっても困ることである。その点ではGoogleが提供するbloggerやこのサイトでもあるGoogleSiteのような世界的に無料でいつまでも使わせてもらえるものがありがたい。
最近見つけて感心しているサイトに、『電脳伝説 Vintagechips』という、70年代の8bitCPUをすべて実際に動かしてみる実験サイトがある。それと今日のPICマイコンとかRaspberry Piなどの超小型とか組込用などの製作が掲載されていて、後者が本業の方の趣味がVintagechipsであるようだ。だから単なる懐古趣味ではなく、パーツ・デバイスは時代とともに変遷しても、アーキテクチャや開発環境という共通のものはしっかり抑えて、自分で対応している姿勢が素晴らしい。
これは大学の電子工学系で何をするべきかにかなり参考になる。もともとこういうところに集まる学生は何らかの製作をやっていたかやりたい人たちなので、手先の器用さで乗り切るモノつくりではなく、科学技術史の必然性という背景も含めて勉強してもらうのがふさわしいように思う。
ロボットとかで世間のウケ狙いとか安易な金儲けを企むベンチャー指向ではなく、それらの基礎となるソフトやハードの考察ができるようになってもらう必要があるからだ。世の中のスパコンのほとんどはインテルのCPUを100万個オーダーで並べたもので、例え計算性能が高くても技術力の証しにはならないように思える。
反対にアーキテクチャが商売になった例が工場を持たないARMのプロセッサでモバイル関連だけでも10億は使われているだろう。こういったものの進化形を考えらえるエンジニアが必要なのではないだろうか? そのためにも情報デバイスやメカトロに興味をもった中高生が簡単にソフト・ハード開発を始められるように、環境を整えるべきだ。
情報に関しては以前は雑誌に頼っていて、無線でもオーディでも日本には多様な雑誌があったが、それらはほぼ消えつつある。
日本の電子工学系でよく使われるのがPICマイコンなのだろう。これを使うまでのキットとかツールは産業用なので大学では教育用にも使われているが、中高生が使うにはまだハードルが高かもしれない。今は部活にいい先生がいるとか、高専などの先生がロボット作りなどどからめて教えているのだろうが、前述のサイトのように刺激となる情報を若い人にもっとたくさん与えなければならないと思う。もう雑誌には頼れない時代だからだ。