投稿日: Jun 03, 2011 11:17:43 PM
知財問題が足かせと思う方へ
最近のアメリカのニュースで、自分がある人に施したタトゥーを映画で真似されたという権利侵害の訴えがあって、知財権としては却下されたというのがあった。実にアメリカらしい。アメリカに行くと似た話にはよく出くわす。自分が手入れをしている松の木の写真を撮るなら使用料をよこせ、というのもあった。松の木が著作物にあたると主張している。農業の品種改良なども特許が出ている。ではアメリカは権利ががんじがらめの窮屈なところかというと、フェアユースの考えもあってGoogleのような活動も可能なところである。タトゥーでも松の木でも主張する人がやいやい言いだす土壌があるにしても、みんながそんなことをいっているわけではない。むしろボランティア的な情報共有の活動というのも盛んである。
つまり個人の権利を守ることと情報をシェアすることのバランスをどう考えるかという視点で権利問題を考えないで、情報流通を制御する側とか情報共有したい側の主張を個別に聞いていても堂々巡りになってしまう。日本の裁判でも知財問題では過去の判例の積み重ねで今後の方向がうっすらとでも見えるようにはなっておらず、どんでん返しも有り得る状態では、知財に投資をしてビッグなビジネスをしようということにはならないのではないか。
学園祭の出し物にまでJASRACとか映像関係者が口を出すようになったのは、権利の暴走であって、例えばどこかのビジネスに損害を与えているわけでもなく、業務の邪魔をしているわけでもないのだから、むしろタイアップして本物のDVDでもCDでも本でも、その機会に宣伝してもらうくらいの相互の関係を目指すべきではないか。著作権の対象は時代と共に拡大してきて、制作物だけではなくパフォーマンスも範疇に入っているが、従来はその場に行かなければみられなかったものも、いつの間にかYouTubeに上がっている時代では、大道芸、特技なども権利主張が出てくるかもしれない。YouTubeのように記録されてしまうことは決して悪いことではない。
つまり冒頭のタトゥーのデザインのように、無名の人の作った意匠をプロが真似て使っている例だって多くあるので、権利の暴走が逆になって、プロがお金をもうけた時点でどこかから知財に関する権利侵害を訴える証拠として、過去にYouTubeにアップされたものが示される可能性があるからだ。しかしお互いが訴えを起こすよりは、協力しあうような方が得だと思ってもらうように、法律が規範とならなければはずだ。