投稿日: Jul 09, 2013 11:50:29 PM
3Dプリンタは普及するかと思う方へ
いろいろな方面から3Dプリンタへの取り組みがみられるが、これは決してモノつくりを安直にするものではなく、より高度な何かを創り出す過程になると思う。アメリカで銃の部品を3Dプリンタで作ったような話があったが、それは銃の部品が3DのCAD化されていて、そのCADデータがオープンに流通できるようになっていたから、何処でもそのデータさえあれば3Dでプリントできたのであった。3Dプリンタだけあっても部品が必要な人が3Dデータを容易に作れるわけではないから、いわば部品の流通革命ができた(部品がデータ交換で成立する)ということである。
しかも3Dプリンタの部品を使おうが銃としての機能に違いが無いわけだから、成果としてのプラスアルファはここにはない。強いて言えば銃の保守管理が容易になるかもしれないというのがプラスであろうか。またカメラ部品を3Dプリンタで作って組み立てるというのもあったが、出来上がるカメラが市販のものソックリというだけではプラスアルファは無く、ビジネスには向かない。銃の場合もカメラの場合も、既存の部品をプリンタ出力に置き換えているだけだから、組み立て方法やコストは以前のままで、3Dプリンタなら内部構造が複雑でも一気に成形できるという特徴はあまり出ていない。
しかしだからといって、皆が自分で3Dデータを起こしてオリジナルなものを作る時代になるはずもない。もともとオリジナル創りをしている人にとっては3Dプリンタは有り難いものであるのだが、そうではない人にとって3Dプリンタはどのようなものであろうか? それは冒頭の話から推察できるのだが、すでに3Dプリンタ用のCADデータが存在して、それらを利用者がアレンジして必要なものを作るという、カスタマイズでオンデマンドのような用途があるだろう。
例えば3Dプリンタでフィギュアを作るとして、着せ替え人形のように利用者が画面上で必要な要素を組み合わせて、またグラフィックスをマッピングして、誕生日のノベルティとして贈るとか、そのフィギュアが自分に成り代って相手にプロポーズするといった、サプライズ系に使うアプリとかサービスはあるかもしれない。用途はともかくとして、グラフィックの制作も工業製品の設計も最初からデジタルで行っている時代なので、いろんな3Dパーツデータを用意することは現実的であり、用はそれらを組み合わせて遊ぶミニCADなアプリケーションがあれば、コンシュマー向けにも3Dプリンタの用途はどんどんでてくることになるだろう。
ハンコの陰影のスキャンから3Dプリンタで印鑑を作ってしまうものもあるようなので、モノ作りの唯一性というのは手作業の芸術作品にしか残らないのかもしれない。