投稿日: Nov 10, 2010 12:5:8 AM
才能の足りないのを努力でカバーしたい方へ
若い人の嗜好は流動的で、変化に敏感に反応することで、新たなビジネスを始めるには格好の市場であると見られがちである。だからといって若者を集めて意見を聞けばそのマーケットが見えるわけではない。だいたい若者相手のアンケートは破綻しているように思える。多数決でモノを考えようとすると、流行の結果しか出てこないというトートロジーになりがちである。なぜなら若者がみんな感度がよいわけではなく、流行のリーダーシップを取れる人の割合は年齢とは関係なくほぼ一定のはずだからだ。もっと上の年齢でも敏感な人はいるが、その年代になると他の人が真似をすることが減る。つまり若者は付和雷同層が多いので、同世代への伝播力が強くて大爆発に見えるが、年齢が持ち上げればその爆発も次第に収まっていく。
では流行感度が飛びぬけて優れてはいない人は何も新しいことを興せないとか、ビジネスを伸ばせないかと言うと、そんなことはない。SteveJobsは感度がよい代表で、いろいろな新しいモデルを創り出してきたかもしれないが、ビジネス機会は他の人にも多くあるように、情報戦略でビジネスは創り出せるところがあるからだ。SteveJobsのような天才君は必ずしも引き出しを多く持つわけではなく、まずい場合は独りよがりな発明になってしまうかもしれないが、ITは仕事や生活のための道具に過ぎないので、それらが利用されるシーンを多く知っていることの方がビジネスには役立つ。つまりシーズとニーズのマッチングに関する引き出しを多く持っていて、顧客のためにソリューションを考えるというサービスがビジネスの多くの部分を占めるからだ。
子供を何十人か集めてクリエイティブな課題を出しても、自分でひらめいて何かを作れる人は5%いるかないかである。だから95%の人にとっては何がどんなことに役立つかを知ったり考え続けることがその人の財産になっていく。もし今が技術変化の無い時代ならば、こういった知恵は先輩達から引き継ぐもので足りることで、せっせと師に従事していれば自分もそのうち一人前になっていっただろう。しかしITに関係したところでは先輩の知恵には限りがある。確かに対面的なことやヒューマンインタフェースのような技術に左右されない要素もあるが、それらのエッセンスを新しいサービスに反映させるには、時代の変化部分も知っていなければならない。そこが今日において意識的に取り組むべきところである。
JAGATの「クロスメディアエキスパート認証試験」の論述試験で提案書を書くものがあって、デジタルメディアを飯の種に考えている人が受験するものだと思っていたが、実際の答案を見る限り「飯の種」であるはずの「シーズとニーズのマッチング」の情報量が圧倒的に足りない印象がある。実際にIT化されたオフィスで働いている人でさえ、自分がその仕事の情報環境を構築できるかというと、そんなことはないように、メディア関連で働いているからといって、自然にはメディアの利用法が身につくわけではない。クロスメディアエキスパート認証試験に関していえば、受験を機会に日頃から「シーズとニーズのマッチング」の引き出しを増やしていくことが、合格証以上に自分自身の財産になるべきはずのものである。