投稿日: Jan 15, 2016 1:8:47 AM
ココイチのビーフカツが異物混入のため産廃として捨てられ、不正転売されていたという件は、なかなかイメージしにくいところがある。ココイチでは上記写真のような事情説明の文書を出していて、2015年9月末にこの樹脂がそのまま入っているか、砕けて入っている可能性のあるビーフカツがあって、それらの総数が4万ほどになるという。この処分が2015年10月に行われていた。いつからスーパーなどに横流しされたのかしらないが、殆どはすでに誰かの消化器を通過してしまっているかも知れないが、ナイロンに当たる確率は4万分の1か…2万分の1か…1万分の1か…
食品の異物混入問題は昨年初めにもあって、記事『Take It Easy』に書いたことがあるが、事態の深刻さ以上にマスコミに騒がれやすい事のようだ。話題は最終的にはそれぞれ関った企業の体質問題に発展していって、混入問題ではなく偽装だったが雪印食品のように会社が存続できなくなった事もあった。
ココイチはこういう食品ビジネスのシビアさを考慮して、ビーフカツの自主的廃棄に踏み切ったわけだろうから、あまり非難される声は聞かない。また出所とか経緯を知らずに販売したスーパーなども回収騒ぎに巻き込まれて被害者側に立っている。問題は廃棄処分を請け負った産廃企業である。
ビーフカツの場合に「もったいない説」もあるのだが、産廃業者はそんな出来心で転売をしたのではなく、もともと転売というのはビジネスの中心だったのだろう。リデュース・リユース・リサイクルという言葉にあるように、不要物は廃棄の前に再利用とか別途利用転用というのが常識になりつつあるので、そういう転売ルートも発展してきたはずだ。例えば亡くなられた方の遺品整理をする場合は、遺族からするとすべて廃棄してくれと言っても、業者は遺品の内容によってそれぞれに相応しいところに振り分けている。お金を出して廃棄するよりはタダでも引き取ってくれるところの方がいいからだ。
危険物などでは廃棄にもトレーサビリティが求められて、最終処分まで後からでも確認できるようにしなければならない。食品も廃棄したからと言って再び人の口に入る可能性があるのだから、廃棄でも再利用・転用でもトレーサビリティが必要になるはずである。ココイチの場合も、産廃業者に丸投げで終わっていたとしたら、やはり処理方法に関する対応は甘かったと言われるだろう。
食品の廃棄としては、徹底という点では焼却ということが多いかもしれないが、本来ならば飼料用とか肥料とかへの転用の方が望ましいのではないか。それがスムースに進みにくい理由があるのだろうか。日本全体としてみると有機農業や酪農・養殖との連携など自然な食への傾斜があると思うのだが、生ごみ処理も含めて食関連の有機物リサイクルに関する研究とか連携がまだ足りないように思える。
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