投稿日: Feb 19, 2016 3:34:21 AM
今日世界で超高層ビルのトップはドバイのブルジュ・ハリファの828mで(内部は160階建)で、その倍のものもドバイで計画中であるという。ビル以外でも最も豪華なものは何でも中東のドバイにあるように思う。これらに金を出すのはだいたいがアラブの王族の資産家で世界中にオイルを売った金がそういう夢想的であったり豪華絢爛なものに投じられている。金の使い方としてもったいないという気もするが、これもバビロン以来の文化だとすると、彼らが自分の金をどう使おうとよいようにも思う。つまりドバイはバビロンとは位置が少しずれてはいるが、我々は一括りに異文化として見物して楽しんでいればよいのだろう。
バビロンは古代メソポタニア文明の中心地でもあり、何千年も前にどのようなことがあったのかを聖書や古典を通じて垣間見ることができる。これらを手掛かりに遺跡発掘も近代以降さんざん行われてきて、欧米の博物館には遺物・彫刻・レリーフや建造物の一部などが並んでいて、それらからうかがえるのは古代文明も壮大なものであったのだろうなということだ。そこで、おそらく中東の思想・指向・志向として何千年も継承している何かがあって、それが現代の資産の使い道として現実に建築物や施設に現れているように思う。
その指向にあわせて、世界の建築家がドバイで活躍するようになった。国立競技場案で日本でも知られるようになった建築家ザハのようなユニークなビルの需要のあるのはドバイとか、中東の発展途上国である。アゼルバイジャンの首都バクーなどもドバイの後を追っているように見える。
きっとバビロンといえば有名な空中庭園を思わせるものもどこかで作られているだろうし、すでにバベルの塔のようなものを作っているわけだから、他の古代の夢として残された文献や絵画なども現実のものとしようとするだろう。
古代メソポタニア文明は人類最古の文明でもあり、中東におけるこれらの指向の具現化というのは、人類の永遠の夢をテーマパークにしたような人工的環境づくりである。建物が奇抜なだけではなく、その内部にも夢想的な空間が作られていく。そういった環境が生身の人間にどのような影響を与えるのか、生体実験をする都市なのかもしれない。
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