投稿日: Oct 09, 2012 5:34:3 AM
官の促進策に足りないものを感じる方へ
自由電子出版の長谷川秀記氏がJEPAのサイトに書かれていた記事は、緊デジのやっていることが電子出版の促進には役立たないだろうということで、どんなボタンの掛け違いがあったかを書いておられる。それを裏返しに読むと日本の電子出版はどのように進んでいくかを暗示するものでもある。記事の内容は次のように要約できる。
経済産業省の勘違い
「電子出版にはお金がかかる」「電子出版物の取次がない」
だから中小が多い日本の出版社では電子出版に取り組めない。
出版社の資質
「電子出版は難しい」
学び自分のものにすればいいだけだ。これにお金はほとんどかからない。必要なのは意欲だけ。
緊デジに依頼が集まらないことから、日本の出版社が電子書籍をやりたくないととらえるのではなく、緊デジに制作してもらっても他に手間のかかることがいろいろあるので、制作費軽減が電子出版の促進要因にならないのと、むしろ零細出版社の方が電子出版に向いていると書いておられる。
長谷川氏の周りには電子出版に積極的な出版社が多いが、日本の出版界全体をみるとそうとはいえないのは、意欲が欠けていることになる。氏は、個人でもePub出版が可能なのにプロの出版社が「難しい」などと宣うのはいかがなものかという。むしろ制作上の問題は大きくなくて、出版の動機が希薄になっているのが電子書籍の伸び悩みなのかもしれない。氏は、昔「聖パウロ女子修道会」がJEPAの会員社になった動機を「私たちは主の御言葉を伝えるのが使命です。伝えられるのであれば紙でも電子でも問わないのです」であることを聞いて感心されたことを書かれている。この修道会はJAGATのセミナーにもこられていたし、その他JAGATでは白ゆり、ものみの塔、新生宣教団の方々もこられていた。
かつて宗教が印刷発達の契機になったわけだが、今日の状況で考えると、どんな時にどんな媒体を使うかという判断も、出版動機がはっきりしないと決めかねることであろう。それができないと電子出版の役割はなかなか見出せない。出版社の役割の中心は、他のビジネスと同じく商品開発にあるはずで、デジタルでどんな商品を作るのかを考えるにも、実作業をするにも、出版社が社内にデータをもつ必要性を長谷川氏は強調されていて、データを他に頼らずすべて内部に蓄積することが財産であり武器であり、そこから10年20年先の出版展望が得られると書かれている。
電子出版再構築研究会 名称:オープン・パブリッシング・フォーラム Ebook2.0 Forumと共同開催
10月17日(水)16:00-18:00 新しい出版マーケティングの時代