投稿日: Mar 21, 2013 1:20:11 AM
現在の権利設定がしっくりこないと思う方へ
著作権関連の立法でコンテンツビジネス・メディアビジネスを守るために、個別の契約条項でも立法でも工夫すること自体は異常なことではない。著作権が50年でも70年でも100年でも1000年でもかまわないと思うが、著作権の最初の意図からすると著者が設定できるようにするのが本当だと思う。今でも作者が最初からパブリックドメインにして青空文庫に出したりCC表示をする例があるように、最初の段階で、完全フリーか条件付かを明示できるようにするのが解決だろう。CCはあくまでフリーに関する法的措置であるのだが、条件付でも簡単に明示できる法的措置があるとよい。
従来はオリジナルとコピーの2元論であったのが、今はいろんな表現方法、メディアや流通方法があるし、そういう変化は今後も続くので、利用面の細かい規定よりは作者が作品の利用許諾の条件を意思決定をするのに必要な項目を明らかにすることが先決だろう。利用面の問題が考えにくいのは、作品がいつどのように社会に知られて広まるかは予想がつかないからである。今の商業的なコンテンツの場合はマーケティング活動をして商品の売上予測とか商品寿命を想定した上で作者と契約をするというものなので、企業側の利益の最大化を狙った権利設定になっていて、ロングテールとか派生的な利用は考慮されていない。
ところが作者側に立つならば、部分利用でもいろんな機会に作品を利用してもらいたいと言うことはありえる。例えばキャラクターのイメージは非常に良くできたのにストーリーとしてパッとしなかった漫画があるとすると、漫画で利益が出なくてもキャラクタとして売れるかもしれないと作者が判断すると、部分利用がしやすいような条件設定をすればよいわけだ。また逆にストーリーが面白いがビジュアルの表現が追いついていないなと思われる場合は、リメイクしてもらうつもりで原作権を売り物にするという手もとれる。
こういったコンテンツ利用促進のための権利の明確化は、作家にとっては過去の作品に対しても再設定することで、っ作品のお蔵入りを防いで、若い作家に何らかの2次利用や2次創作を促したり、またそれらが社会に認知されることでオリジナルにも世の関心が行くというような、相互のプラスになる可能性がある。若い作家からすると画力とストーリー性と吹き出し・ネームなどのバランスが未熟な場合に、自分のお気に入りの2次創作とかリメイクから出発できることにもなる。つまりコンテンツ利活用には過去のアーカイブが若手育成の教材として役立ててもらえるような、コンテンツの循環を作ることが大切だからだ。
作品の性質から、作者が旬と考える期間を自分で設定して利用制限をつけ、それ以外は制限を緩めて利用しやすくして、永く世に残るようにしたい、というようなことができればよいのではないか。