投稿日: Feb 24, 2015 1:16:11 AM
ピケティさんの本が話題になるのは、なんとなく言っていることに信憑性を感じる何かがあるからだろう。私も読んではいないが、先進国では格差が広がるのは漠然とわかる。国のレベルで考えると、インフラとか社会保障・社会福祉など最底辺層のために税金を使うことが少なくなると、マネーゲームが増えて生産性向上のような実体経済効果は意味が薄れるからである。
しかし発展途上国ではやはり生産性向上を続けなければならない。それによる効果はここ20年くらい如実に表れていて、特に東南アジアの購買力は高まってきた。ナショナルジオグラフィックが食糧問題をシリーズで採りあげていて、以前も引用して書いたことがあるが、世界で人のカロリー摂取源となっている穀物で、コメが小麦が抜いて一位になるほど、コメの生産性が東南アジアで向上し、それが人々の購買力を増し、国も経済的に発展を遂げる段階にきている。
つまり農民がコメを売って現金を得て、オートバイとか電化製品を買えるようになったのである。それで日本の日用品の類も売れるようになってきた。もっとも実際は多くは現地生産で名目だけ日本ブランドが多いと思う。これは現地に雇用を起こすと当時に、日本のイメージ向上にもつながるから良いことである。
東南アジアの諸地域は中国の経済活動の巨大化に神経を尖らせていて、日本のように中国製品が買いやすくなったからと言って、全面的に喜んで受け入れるというよりは、自国の産業の競争力を高めることが重要なので、日本も現地企業とコラボするのがよい。
文化産業とかメディア関連も現地の産業の発展と歩調を合わせるような進出がされていて、インドの巨人の星が有名だが、文化的な親和性を第一義にしなければならないので、日本で人気であるという理由だけでコンテンツ輸出をしようとしてもうまくいかない。
韓国は資金面で韓国のスポンサー付きでコンテンツ輸出をしているようだが、そんな金回りの利便性よりも、本当に現地で重んじられている文化というのを理解して、コラボをすることが長期的には重要だろう。日本には東南アジアの各国をよく理解している東南アジアファンも多いはずで、そういう人のつながりを重視したコラボで、コンテンツを核にして相互に人が行き来するような現地と日本の双方向のビジネスモデルを作るべきだろう。
クールジャパンも、輸出だけでなく来日促進という循環を想定している。双方向ビジネスを考えないと、すぐに行き詰まってしまうだろう。
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