投稿日: Oct 18, 2013 1:30:12 AM
ビジネスドメインの拡張が必須
誰でもITやネットワークを自分のビジネスに活かしたいと考えるだろうが、そういった投資をして早い者勝ちで導入してもその効果が上がるかどうかは疑わしい。機械設備の新規導入が生産性に直接貢献したのとは異なって、データやコミュニケーションの効率はやはり使う人の側に責任があり、人間主導だからである。つまり機械は人間の置き換えになるのに対して、ITやネットワークは人のコミュニケーション能力やデータ処理のノウハウを拡張するということになる。
印刷出版ではアナログ時代からコンピュータ組版のCTS時代になって直面したのは、活版の仕事の置き換えでは採算が合わなかったことだ。しかし百科事典とか統計とか編集領域にコンピュータの能力を使うと、人手では絶対出来ないことが可能になる。つまり組版屋のままではCTSは活かしきれず、編集のお手伝いをするという業務関係に変えないとビジネスが伸びなかったのである。しかし編集側の原稿整理や発注準備、校正についてよく知っている印刷会社は少なく、特にCTS組版の営業ができる人材が不足して、設備投資を活かしきれなかったところが多い。
それはITやネットワーク今ではもっと顕著になっていて、発注者と制作会社とクリエータとのコラボレーションのうまいヘタの差でこれらステークホルダ全体のスループットが変わってくるし、ステーホルダの構成員それぞれの利益性も同様にコラボレーションの良し悪しの影響を受ける。単純に言えば校正回数が最小で品質がよければコラボレーションはうまくいっているわけで、短時間でできて発注者は喜び、制作側は手離れがよく利益性も高まる。
つまり制作側が発注者にアプローチすべきなのは、上記のようなチームで勝利するやり方に顧客を巻き込むことである。これには発注者と制作側の駆引き、外注との駆引きなど、今までのやり方である、自己都合とか自分に有利なように相手を押し切ろうとするのではなく、両者にとってベストな方法を探りましょういう姿勢が必要で、システムの要素よりもまとめる人間の能力に左右されることになる。
だから従来の営業スタイルではなかなか攻略できないし、そもそも営業マンに任せるような仕事ではなく、仕事の流れを統括するディレクターとして仕事をしてもらう必要がある。もっとも従来からの有能な営業マンというのは実はディレクター的な仕事をしていたとも言える。しかし営業マンの権限では出来ることに限りがあったが、そういう人にもっと生産まで含めた権限を与えたのが本当のディレクターであろう。
受発注全体を含めたチームを統率できるところが仕事を拡大することになるのである。