投稿日: Jul 28, 2015 11:29:33 PM
インターネットにはあらゆる情報があるようにみえて、実はインターネット特有の偏りというのが今でも相当残っている。最大に事柄は、Webが使われだした1990年代初頭以降に起こったことは結構残っているものの、インターネット直前の情報というのは極端に少ない。例えばインターネットの先輩にあたるパソコン通信時代の情報は少ない。つまり1990年代初頭以前の事柄に関しては概してネット上だけで探すことは困難である。
また偏りというのは今日の人々の関心からくる問題で、オーディオアンプの製作に関して、ICを使ったものよりも真空管を使ったものの記事の方が多そうだ。現実の市場では圧倒的にオーディオアンプはICが使われているのに、人に自慢したいアンプは真空管であるということだろう。トランジスタのアンプもICより前の時代になるのだが、なぜか真空管ほどは人心を揺さぶらないらしく、製作や改造の記事は非常に少ないと思う。
印刷関連業界では1990年代までブリブリいわせていた電算写植やトータルスキャナの記事が少ない。その後のDTPの時代はネットの時代でもあって、DTP用語というのは検索するとあるのだが、そもそもDTP用語は電算写植やトータルスキャナからきているものが主であるので、DTP用語の起源を辿ろうとするとネットでは頓挫することがある。
一般社団法人日本印刷産業連合会が2002年に編纂・刊行の『現場で役立つ印刷用語集』を改訂した「JFPI 印刷用語集」が掲載されたサイトをみたら、次のような項目があった。
間違いとはいえないかもしれないが、color correct というのは、カラーバランスがとれるようにキャリブレーションするようなことで、単に画像の色を変えることではない。関連語にマスキングとかカラーマネジメントとあるように、作業用の標準設定をするための機能のはずだ。
文章に手を入れるなら最後のところを「カラーバランスをとるための色変換の設定をする」ということだろうか。
これはまだカラーフィルムの時代のスキャナの話で、フィルムはメーカーごと、厳密にはロットごと、現像所ごとにカラーバランスの考え方が異なり、それがフィルムの持ち味とか、現像の腕とか言われた時代だから、そういったバイアスをリセットするために必要だったのだろう。つまり今日的にはあまりカラーコレクションは考えなくてもよくなったといえる。
2002年の用語集ということで13年前なのだが、その間に使われなくなった用語がいくつもあるなあ、とふりかえってみた。代わって色に関する新たなテクノロジーがあったのかというと、そんなこともなかったのだが…
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive