投稿日: Dec 26, 2010 10:44:37 PM
日本は何に集中するべきかと思う方へ
2010年のIT・デジタルメディア関連の話題で最も盛り上がったのはクラウドだったように思う。逆にマイクロソフト関連の話題が極端に減った年でもあった。マイクロソフトもクラウド追随しか方策がないかの様な状態である。ただクラウドの概念はセールスフォースとオラクルの間で応酬があったように、まだこれから議論がされるだろう。クラウド型の一般向けアプリは思ったほどはブレイクしなかった。GoogleAppsとマイクロソフトOfficeの対決というところまではいかなかった。Appleは株価・時価総額・売上・利益さまざまな面で先端に出てきたが、技術的にはアンテナ問題や電話のかかりにくさ云々など他社には及ばないところもある。むしろAppleに触発されて、いろんなスマートフォンやタブレットが登場したことが最大のニュースであった。
Kindleのような読書端末とスマートフォンやタブレットがともに電子書籍アプリをターゲットにしているので、電子書籍のニュースは非常に多かったのだが、コンテンツ側の動きはそれほどはなかった。コンテンツで動いたのは自炊系であって、これは前述のような電子書籍向けガジェットがいっぱい身近に出てきたからであろう。要するに2010年の賑わいはガジェット系であって、その裏には日本のディスプレイ部材メーカーの活躍もあった。デジタルメディアがどうなるという話からするとガジェットの話題は小さいようであるが、たかがガジェット、されどガジェット、という面もある。つまりガジェットの多様化は、マンマシンインタフェースのもついろいろな問題をあらわしているからだ。
アメリカのパソコン屋に初めて行ったときの印象だが、さまざまな大きさのマウスがあって感心した。日本では考えられないほど大きなグローブのようなマウスもあった。人の身体に関係するところは標準に集約することはできないんだなと感じた。今人に見せる読書端末とスマートフォンやタブレットがやはり標準化には向きにくいことを示している。シャープのガラパゴスがホールド感や持った感じがよいと評判である。またDELLもGalaxyもファンがあり、大小、軽重、色形、厚薄などある意味ではApple製品よりも何らかのヒューマンインタフェース上の差別化を各メーカーが試みていることがわかる。そして本にさまざまな大きさがあるようにデバイスのサイズも収束することがないだろう。
日本はこういったデジタルデバイスの開発は得意だった。PC、日本語WP、ゲーム機、ケータイなどなどは独自に作ってきたが、最終的にはビジネスが分解してしまうことを繰り返してきた。前例のないものを作る段階では、ハードとソフトとコンテンツをセットで考えなければならないが、普及するにしたがってこれらは別々のところから供給されるようになって、安価で高性能なものとなる。つまり日本はバンドリングの時代はうまく舵取りできるのだが、アンバンドリングが必要になり新たな参入者を迎えて競争状態を作り出す段階でうまく管理できないで、バンドリングのまま沈没しがちであった。今のケータイがまさにデバイスとキャリアとコンテンツのアンバンドリングの遅れでスマートフォンにもっていかれようとしている。
実はバンドリングの時期でも、内実は国内各社の分業がその裏にあるので、各社が自分の看板でビジネスをするなら、アンバンドリングに移行できないことはないことはないだろう。日本のデバイスがヒューマンインタフェースの極意になることも有り得ると思う。