投稿日: Apr 12, 2011 12:30:51 AM
復興にメディアを役立てたい方へ
3.11以降の震災時に情報孤立ぎみの在留外国人にとってはfacebookの友達つながりが非常に役に立ったことを、記事『ソーシャルメディアが市民権を得るまで』で書いた。また確かにネットでデマが飛び交ったものの、それらを鎮めるにもネットは役立つことを記事『クチコミを進化させるソーシャルメディア』で書いた。ネット上には「やはりソーシャルメディアはこんなに役立った」という自画自賛記事も多いのだが、一方で規制・監視を強める「ネットは怪しい」という動きも強まっている。しかし今回の震災を通してマスメディアがニコ動やUstを認知したように思うし、GoogleやYahooポータルサイトを筆頭にネット上のメジャーなメディアが役立ち信頼できる情報をいつでも見られるようにしていることも認知されたであろう。ネットメディアの成長を革命的な変化と表現しがちだが、実は少しづつ実績を積み上げながら成長していくものであることを感じる。
しかしソーシャルメディアに関しては今の段階でどうこう評価するのは早計である。それには2つの理由がある。第1は震災時のような時はソーシャルメディア以前にネットでやるべきことがいろいろあることと、第2にはソーシャルメディアが機能するには人々の間で何らかの「ソーシャル」が形成されていないといけないので、災害時のようなソーシャルが壊れたときには、緊急の臨時ソーシャルが生まれるような背景も必要だからである。
第1の必要なことは物資援助であって、被災地から何が欲しいということと、こんなものを提供できるのだが何処に送ればいいか、という需給のマッチングするサイトがしばらく経って立ち上がったようなことである。このサイトは関西でボランティアとして作ったものがあったが、本当はオークションなどの大手の商業サイトが自社の仕組みを使ってこういうことができたほうが効果は大きい。今後は個人間の「売ります・買います、あげます・ください」を扱うCraigslistのようなものがソーシャルメディアと組み合わさっていけば、災害時にもすぐに使えるものとなるかもしれない。また自動車やプレハブや重機なども広域でシェアできるような「使いまわし」がネットで管理できる社会になっていけば、災害時に融通がしやすいだろう。
第2の課題である人間側のソーシャル力については、電気も通信も途絶えた時のコミュニケーション・情報伝達の交通整理の問題である。今回の震災では津波で壊れた民家について、3段階に分けて旗を立てて管理しているところがあった。つまりガレキを撤去して更地にもらいたところと、壊れていても家主が自分でかたずけたいところと、半壊していても人が住んでいるところの区別を旗の色でしていた。この旗がGPS化すると地図にマッピングできるし、その中で人の居るところを巡回することも効率的に行えるようになる。ボランティアも更地化のかたずけと、家主の手伝いと、生活者の補助と分けてとりかかれる。こうしてボランティアが効率的に動ける状態になると、ネットでのソーシャルメディアの活躍も目覚しいものになるのだろう。
ハイチの地震がアメリカの巨大サイトに新たなサービスを追加したように、今回の震災も一歩メディアの前進になってもらいたい。