投稿日: Mar 01, 2013 12:43:44 AM
市場の考え方を変えるべきだと思う方へ
人がメディアをどのように利用しているのかという調査は、たいてい年代・性別に統計をとっていて、当然ながら中高年は旧来メディアを信用し、新しいメディアは若者層から浸透するというゴールデンルールがある。記事『テレビとネットは両立する』では、技術的には情報多様化に対応できるようになっていても、元々マスメディア・ビジネスの人にとっては、多様化による分散化は余計なことなのだろうということを書いた。そんなわけで新しいメディア技術には大変脆弱な市場しかない。しかしそこを契機として大きなビジネスにブレイクする日が来るのなら、手を出さないわけにはいかない。ところが日本国内ではブレイクする日が来るかどうかというのが問題である。
なぜなら、私ら世代と子供の世代を比較すると人口が半減するので、若年層に浸透した新しいものが年を追って倍増する可能性はないのである。通常の人の行動は、同世代間への波及が時間的にも空間的にも凄まじく、他の世代には知られないが内輪で大きな流行を生み出す。そのことは若干年齢が下の層には広がっていくが、年齢が上の層にはなかなか広がらない。つまり若年層向けに投資しても、人口の多い中高年市場には波及しないので、ブレイクするとは考え難いのである。
若年層は自我形成のためにいろんなものに興味を示すが、同時にいろんなものを捨てる層でもある。つまり乗り換えの腰が軽いので、多大な広告宣伝費を投入して市場参入してもビジネスは長続きするものは非常に限られ、第2第3第4のAKB云々嵐云々を狙うことは難しい。アイドルの韓流ブームなども去っていくだろう。だから若者相手のビジネスはマス戦略は絞られてしまい、多くの口コミ的な広告・販促が主流を占めるようになりつつある。この口コミのルートになるメディアに価値があることになる。それが今ソーシャルメディアといわれるものだが、その世界も安定せずに移り変わっていくだろう。
マスなヒットを狙うというのは感性に依存している事柄なので投資してリターンを求めるようなビジネスとはちょっと異なる。しかしネットで情報流通がよくなると日本のヒットや世界各地のヒットが相互に影響しあうことは次第に多くなっている。前述の同世代間への波及が世界的に起こることは、ファッションや映画や音楽などの大メディアで常識になっているのだから、今までのマスメディアでは伝えられなかった程度の、もっと範囲を絞ったターゲットにおいて、世界の若者がシンパシーを感じることができるような情報ハブを作ってビジネス化していくことが起こりつつある。日本のmangaもその一つであって、もっと数多くの趣味・嗜好の分野においてネットメディアやECによって国際交流をする時代になるだろう。
国や言葉が違うことが言語を扱うメディアの広がりの障害であるという見方もあるが、例えば園芸が好きな人は、たとえ少々字が読めなくても、自分の興味のある写真には目を通すようになるだろうし、一旦興味を持ってもらったなら少々不完全でも自動翻訳の利用や英語サイトも使われるようになるはずだ。若者向けに限らず、日本の趣味・嗜好のサイトも簡単な英文を入れるようにすれば、世界の同好人にシンパシーを感じてもらえるだろう。