投稿日: Aug 04, 2015 12:4:58 AM
NHKの朝の便利小物紹介番組がおぞましいことを記事『縮小指向』で書いたが、最近人気のネットベンチャーのランキングをみると、同様にちょっと便利なアプリが並んでいて、やはり同じ日本人なのだなと感じた。他社のサービスに対して、よりきめ細かい配慮をするというように思考するらしく、解説とかレビューで読む限りは従来のものよりはよさそうに思ってしまうのだろう。また開発する方も具体的な利用シーンが思い浮かぶ方が焦点を合わせて開発しやすいということもあるので、どんどんピンポイントのアプリが増えていくのだろう。
しかし利用者は日常いろんなものを使うわけだし、たとえある局面で便利であっても、次に必要になった場合にそのアプリを覚えていてくれるか、あるいは探せるかということが問題になる。その点ではLINE、facebookやtwitterのようなところに顔を出すアプリの方が有利である。つまり、たまに必要なものと、毎日見るものの関係がうまくできればよいことになる。
一般にはエージェントといわれたサービスであるかもしれないが、時と場合に応じてその人に必要なものを提供してくれる仕組みが、日常使っているSNSに埋め込まれればよいことになる。
こういった技術は、利用者の属性や履歴を管理してリコメンドとかパーソナライズをするものと同じなので、精度の差こそあれ一般化しているともいえる。問題はそれぞれの行うリコメンドやパーソナライズが特定目的のものだけに限られていて、利用者の日常全体をカバーできないでいることである。だからfacebookのいいねも、twitterのお気に入りも、Webのbookmarkも、他の似たマーキングも含めて総合的にどこかにログが採られて、それを後で再活用できる仕組みにすればよい。
つまり一般化していえば「気に留まったものを振り返ることができる」というメタなサービスが求められているともいえる。それはそんなに難しくはない気がする。ログとしては時間軸に蓄積すればよいし、どの分野の情報なのかという属性をつけていけば、絞りやすい。Webだけなら検索エンジンだったらできるであろうが、アプリの内側でいいねをつけているのなどを取り出すには何らかの連携が必要になるだろう。
過去にbookmarkに関するうまい管理の方法も試されたことがあるが、殆どのbookmarkはリンク切れの山になり、また分類上もカオスになって、活用されていないのが現状ではないだろうか。ピンポイントのアプリ開発が悪いとは言わないが、自分の腕試しとして、先人が挫折したテーマに挑戦することも意味があると思う。
Top → Articles デジタルメディアビジネスの記事 過去記事→Archive