投稿日: Apr 11, 2011 12:5:20 AM
マーケティングに行き詰まりを感じる方へ
東京都知事選挙は投票締め切り後、間もなく事前調査と出口調査をもとに、報道機関などが当選確実を出してしまった。もう開票速報というレースのような番組は無意味になってしまって、TV局にとってはよかったのか悪かったのかわからない。これらの統計の費用は番組制作費からでるのであろうが、民主主義の根幹である選挙がこんなに予測可能になるのだったら、政策そのものもシミュレーションできるものを、ちゃんとつくるべきかもしれない。政策自体は人間が考え出すにしても、それがどの程度合理的か、人々の納得を得られそうか、などはモニター調査で確認できて、議会の力関係で無茶が通るようなことは減るかもしれない。国会で言えば今の2院政に加えて政策評価をシミュレートするITの3院目を作るのはどうか?
これは半分冗談だが、商品のマーケティング調査よりも選挙の方が進んでしまった感があるので、その原因を考えると広告代理店が行っていた手法が科学的ではなかったのではないか? という気がする。一つの代理店があまりにもいろいろな業務を丸投げで請け負っていて、その中の企画、調査、分析、立案、戦術など業務の個々の充実よりも、全体でうまく言いくるめて稼いでるのではないかという気がする。言い方を変えれば広告業としてのブランディングができているとか、信頼があることになるのだろうが、そこを強調しすぎると個別の手段が時代から取り残されてしまう可能性がある。それが結局は「モノが売れない」の一面でもある。
つまり広告代理店はクライアントに対してはブランド力を発揮するものの、そこで扱われる手法は生活者に納得されるものでは無くなっているのではないか。むしろ今の時代は選挙に関する統計のように、仮説検証をやってみせて、生活者の信頼を得ることも可能になる時代なのである。記事『PV、コンバージョン神話を信じる?』で書いたような、きわめて表層的な統計で広告ビジネスをしようとしていることは、アメリカのようなBigDataの解析がフツーに行われるのとは対照的で、おそらく今後のネット上の広告手法も広告業界の内からは出てこないことになるだろう。日本の広告業界はITを軽んじていたと思う。
ただし統計が万能なのではなく、あくまで仮説検証の手段の一つである。そして仮説を生み出す現状認識にも統計は有効である。現状認識が間違っているとどんな仮説を立てても検証はできない。しかもマスメディアに関してはどのように使われているかに関してさまざまな統計があるが、デジタルメディアは俯瞰できる統計がなかった。アスキー総合研究所が実施した国内最大のネット・コンテンツ調査MCSはその点で過去にない生活者の行動パターン分析ツールであり、販促に必要な生活者のメディア接触や行動習慣について、大抵のことが一瞬にザックリ捉えることができる。これは日本の今までの広告・販促を変え、IT時代の統計主義に一歩近づけるきっかけになるかもしれないと思っている。
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