投稿日: Mar 12, 2010 4:3:3 AM
紙媒体のアナロジーから離れられない方へ
20数年前、百科事典をCD-ROMにするとか、SGML化するというのは、大変魅力的で将来有望に思われた時代があった。日本では日立デジタル平凡社という「理想的」な合弁会社ができて、欧米の先を行く電子出版が始まるのかと期待した人も多くいた。
しかしビジネスには失敗した。ところがインターネット上ではWikipediaが成功を収めている。百科事典のデジタルは誰でもが使う時代になったのである。いやインターネットそのものが百科事典のような役割を果たしているともいえる。
紙媒体のアナロジーで電子出版をしようとした例は非常に多くあった。しかし大抵はそれはチンケなものである。時刻表の各ページをPDFにしてブラウザで見れるようにしても、いったいどんな満足が得られるだろうか。
だからそれは路線探索という、いつ、何処から何処に行きたいのか、というエージェントのような機能の中で、時刻表のデータが使われるというようになったのである。
紙媒体という姿形の出来上がったものがアタマの隅にある限り、いくら要素を分解しても、役に立つように再構成はできない。
その紙媒体はなんのためにあるのか、というところを基点にデジタルメディアを設計しなければならないのである。地図もそうであった。料理本もcookpadのようなスタイルになっていく。こうしてみると本当に必要な「こと」をデジタルにすると、やはり伸びるのだということがわかる。