投稿日: Sep 24, 2012 12:53:1 AM
変わらなければならないと思う方へ
出版社に取材に伺うと、だいたい大変暗い挨拶で始まる。ここ何年も出版状況クロニクルをご覧になっている方は、右肩下がりが当たり前のように思うかもしれないが、2011年度の書店売上げランキングtop10を見ると以下のように、★印のついている半数は伸びているのである。
1 紀伊國屋書店
2 ブックオフコーポレーション ★
3 ジュンク堂書店 ★
4 有隣堂
5 未来屋書店 ★
6 ヴィレッジヴァンガード ★
7 フタバ図書
8 文教堂
9 トップカルチャー(TSUTAYA他) ★
10 丸善書店
これをみるとやはりここ10何年でがんばったところがのし上っている。要は出版販売の戦略やマネージメントの差がでているので、そこに手を入れなければ売るものが紙でもデジタルでもビジネスとして伸ばすことはできないし、伸び代はまだまだあるといえる。もし日本の出版市場が八方塞がりだとすると、例えAmazonのような巨人が日本でeBookビジネスを本格化したところで、紙のコンテンツをeBookにするビジネスが好転するとは考えられない。
記事『メルマガが生き残る理由』では、ホリエモンのメルマガが1億円を売り上げたり、また若干有名なオピニオンリーダーが有料メルマガを出すようになっていることを書いたが、こういった従来の出版ビジネスで機会損失していたところや、遣り残しているところ、電子化で伸びるところ、などをIT化でいかに上手に取り込んでいくのかをeBook戦略に組み込む必要がある。それには従来の出版ムラで従来の業務を踏襲しているだけではダメで、新たな刺激やコラボレーションが必要になる。だからAmazonが売上げの足しになるかどうかよりも、Amazonと関係することで出版ビジネスの発想を変えていこうという姿勢が求められるだろう。
研究会「出版マーケティングをみなおす」(7月25日 参考 Amazonを越えられるか? )では、最近のアメリカでの本に関するマーケティングの動向をいくつか紹介した。ソーシャルファンディングやクラウドソーシング、あるいは書籍の一部を先に公開するプリマーケティングなど、本つくりそのものから話題とするようなマス広告を超えたマーケティングがネットの中で始まっている。10/17にEbook2.0 Forumと共同開催開催のオープン・パブリッシング・フォーラム では、まず出版状況クロニクルのような現状の日本の出版概況を振り返り、アメリカでのマーケティングを見わたし、新たな書籍のマーケティング(紙もデジタルも)を進めるのに必要な要件、データインフラ、プラットフォームサービスを考え、一皮向けたeBookビジネスの戦略構築のヒントにしたいと思う。
関連情報 「新しい出版マーケティングの時代」(10/17開催)
【主催】一般社団法人メディア事業開発会議(MEDIVERSE)
【共催】Ebook2.0 Forum
【日時】2012年10月17日(水) 16:00-18:00(120分)
【会場】ポーラ・メソッド 東京都渋谷区桜丘町31-14 岡三桜丘ビル8階(渋谷駅徒歩8分)
【対象】メディア・出版関連の企画・開発・マーケティング担当者
【定員】20人(先着順)
【参加費】5,000円(税込)
※1期通し(3回分)10,000円 4期通し(12回分)30,000円