投稿日: Jul 17, 2015 1:16:47 AM
デジタルになって不便に思うことは割付用紙が無くなってしまったことだ。まずは画面での作業になるので、仕上がりの実寸とは関係なく進められるのだが、やはり最初の設計が大事なので、実寸を設定しなければならないが、画面ではなかなか実寸は感覚的にはわからない。表示で「100%」となっていもなぜかピンとこない気がする。
電子デバイスで見る場合に紙との違いは余白の問題がある。紙メディアでは仕上がり寸法の紙サイズから余白を考えるが、電子デバイスでは画面の外側にも何らかのフチがある場合があって、そこも余白的な存在になる。タブレットの場合は画面内余白はほぼなしでレイアウトすることが多いのではないか。悩ましい問題である。
また似たようなページを複数作る時には、テンプレートというのを用意するが、その作業も画面ではなかなか割付用紙でやっていたようにはいかない。それは作業効率とか生産性という面と、複数ページを見比べるという面の2つがあって、デジタルの場合は作業が行ったり来たりするのはイヤだから、最初からキメてかからねばならず、試行錯誤の段階が狭まってしまう。
ページ数を1ページ減らしたり増やしたりする場合も、割付段階で複数ページを見渡せると、どこら辺をアケていくとか、写真をどれくらい縮めれば全体でどれくらい減るかなどが、割付用紙の方が考えやすい。
しかしだからと言って紙の方が作業性が優れているのかというと、必ずしもそうではない。レイアウトにおけるグリッドシステムなどはデジタルだから簡単にできるものである。要はデジタルの場合はユーザーインタフェースが使いやすくなっているかどうかの問題で、冒頭から述べてきた割付用紙の使いやすさがまだ組版レイアウトのアプリには十分実装されていないということだと思う。
ソフト開発をしている人はきっといろいろと便利なファンクションを用意しているつもりなのだろうが、それらが活用されていないとすると、解り難いとか、間違えやすいとか、手間がかかるとか、まだユーザインタフェース上の課題を抱えているということなのではないだろうか。
近年はさっぱりレイアウトのシステムは作られなくなってしまったのだが、プロ用の専門のソフトウェアを除くと、もっともそういった点を考慮しているのがMicrosoftWordだろう(最近の一太郎は知らないで書いているのだが)。今からWordに匹敵するソフトを作るのは困難だろうから、Wordの機能でできるところはやってもらって、その後を引き継げるようにデジタルメディアのオーサリングシステムも作っておくのが無難のように思える。